北海道新聞 07/10 05:00
【白老】国が胆振管内白老町に整備したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の中核施設、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長に、開業から1年間の文化発信の成果と今後の課題について聞いた。
――この1年で、アイヌ文化を発信する役割はどの程度果たせましたか。
「コロナ禍の影響で一時休業するなど100パーセントの状態で営業できず、なかなか厳しいです。一方で、古式舞踊のステージでは若い職員が創意工夫で新しい演目をつくるなど、文化創造の芽生えも感じられました。内閣府が昨年11~12月に行った全国世論調査では『ウポポイに行ってみたい』という回答が6割を超え、今後に期待したいです」
――アイヌ民族の中には過去の同化政策や差別など「負の歴史」の発信が十分ではないという意見もあります。
「そうした声がある一方、負の歴史ばかりを出さないでほしいという考えを持つアイヌの人たちもいます。生々しい差別の歴史を出したとき、社会にどんな影響をもたらすのかを慎重に見極める必要があります」
――インターネット上では今も「アイヌは先住民族ではない」といった誹謗(ひぼう)中傷があります。
「そうした言説に惑わされている人たちに対し、事実に基づいて『それは間違っている』とホームページなどで明確に伝える取り組みを重点的に進めてきました。アイヌ民族に対する正しい理解を定着させることはウポポイが一番やらなければいけないことであり、地道に事実を積み重ねることが大切です」
――今後の運営方針は。
「『新たなアイヌ文化の創造及び発展』という理念を実現させるために研究員、学芸員による研究結果を常に展示に反映させ、楽しみながらアイヌ文化を学んでもらえる場をつくりたいです」(聞き手・斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565414
【白老】国が胆振管内白老町に整備したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の中核施設、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長に、開業から1年間の文化発信の成果と今後の課題について聞いた。
――この1年で、アイヌ文化を発信する役割はどの程度果たせましたか。
「コロナ禍の影響で一時休業するなど100パーセントの状態で営業できず、なかなか厳しいです。一方で、古式舞踊のステージでは若い職員が創意工夫で新しい演目をつくるなど、文化創造の芽生えも感じられました。内閣府が昨年11~12月に行った全国世論調査では『ウポポイに行ってみたい』という回答が6割を超え、今後に期待したいです」
――アイヌ民族の中には過去の同化政策や差別など「負の歴史」の発信が十分ではないという意見もあります。
「そうした声がある一方、負の歴史ばかりを出さないでほしいという考えを持つアイヌの人たちもいます。生々しい差別の歴史を出したとき、社会にどんな影響をもたらすのかを慎重に見極める必要があります」
――インターネット上では今も「アイヌは先住民族ではない」といった誹謗(ひぼう)中傷があります。
「そうした言説に惑わされている人たちに対し、事実に基づいて『それは間違っている』とホームページなどで明確に伝える取り組みを重点的に進めてきました。アイヌ民族に対する正しい理解を定着させることはウポポイが一番やらなければいけないことであり、地道に事実を積み重ねることが大切です」
――今後の運営方針は。
「『新たなアイヌ文化の創造及び発展』という理念を実現させるために研究員、学芸員による研究結果を常に展示に反映させ、楽しみながらアイヌ文化を学んでもらえる場をつくりたいです」(聞き手・斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565414