先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

余市に息づくアイヌ民族の歴史 町内2施設に展示コーナー

2022-04-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞04/08 19:12

よいち水産博物館の3階に新設された、余市のアイヌ民族や文化を紹介する展示コーナー
 【余市】9日から今季の営業を始める「よいち水産博物館」と「旧下ヨイチ運上家」に、余市に暮らしたアイヌ民族の文化や交易について紹介する展示コーナーが新設された。展示の中心となる博物館では、道内の日本海側で豊漁の儀式に使った木彫りの祭具「カムイギリ」の実物を展示するなど、余市に息づいたアイヌ民族の痕跡を祭具や生活民具など約200点の資料を通して紹介する。
 博物館ではこのほか、明治期に余市に入植した旧会津藩士栗田鉄馬の日本画(展示は複製)を紹介。明治初期に余市で行われたイオマンテ(クマの霊送り)の様子や人々の服装などが一枚の絵に細かく描かれており、展示では絵と実際の資料を見比べながら知識が深められるように工夫している。余市出身のアイヌ民族の歌人違星北斗が生きた大正から昭和にかけての生活民具も展示している。
 江戸時代のアイヌ民族と和人の交易拠点だった旧下ヨイチ運上家には、海上の安全や豊漁を祈願して神社に奉納された船絵馬や、北前船で運ばれたとみられる九州の陶磁器など約10点を展示した。
 展示に関連する事業費2500万円のうち8割は、昨年交付されたアイヌ政策推進交付金を充てた。2施設のほか旧余市福原漁場、フゴッペ洞窟は9日から開館する。なお、第2土日曜に当たる9、10日は、余市町民に限り入館無料となる。(松嶋加奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/667350

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米アカデミー賞平手打ち事件 脱毛症の当事者やお笑いタレントはどう見たか?

2022-04-09 | アイヌ民族関連
北海道新聞04/08 11:01 更新
 3月に開かれた米アカデミー賞の授賞式で、俳優ウィル・スミスさんが脱毛症の妻を侮辱されたとして、賞の発表者だったコメディアンのクリス・ロックさんを平手打ちした行為が、日本でも波紋を広げている。病気をジョークにすることと暴力、どちらも悪いのは論を待たないが、受け止め方はさまざまなようだ。この問題をどう見るか、脱毛症の当事者、アイヌ民族のお笑いコンビ、臨床心理士の3人に聞いた。
■髪の悩み 生きにくく 北海道ヘアドネーション協会代表理事・藤谷麻未さん(35)
 私は12歳で脱毛症になり、今もウィッグと共に生活をしています。3年前から、脱毛症やがんの治療に伴う外見の変化に悩む方をケアするウィッグサロンを経営しています。自分ではどうにもできないことを笑いのネタにしたロックさんの発言で、髪に悩みを抱える人はまだまだ生きにくい世の中だと痛感しました。
 髪が抜けて容姿が変わると、多くの人はショックを受けます。ウィッグを着けることで、周囲にからかわれて傷つく人もいます。テレビなどでウィッグがお笑いのネタの道具に使われることもありますが、私たちにとっては体の一部です。
 今回の報道は暴力行為に注目が集まりがちですが、視点は他にもあるはずです。ジェイダさんは授賞式にありのままの姿で出席していました。髪に悩みを抱える人が、ウィッグを外して外出することが自然な社会になるよう願っています。
■笑いの線引き 慎重に アイヌ民族のお笑いコンビ「ペナンペ・パナンペ」・川上竜也さん(46)

 相方とのネタで「不細工」とか「髪が薄い」とかいじることがあります。
 普段は人を傷つけない、不快にさせないよう気をつけるべきですが、お笑いではそう言い切れない部分がある。病気をやゆするのはダメ。一方で、笑いの「線引き」は難しいとも感じます。
 私たちはアイヌ文化を面白く、親しみを持ってもらえるようにお笑いをやっています。差別やからかいにつながるような、仲間が嫌がったり、だめだと思ったりするネタはしないよう心がけています。
 今回の件は、テレビ番組で昨年、お笑い芸人がアイヌ民族への差別表現をしたことに通じる気がします。
 デリケートと思われるテーマに触れる時は、特に慎重さが求められます。ただ、何事も万人に肯定されることは無いので、笑いと不快のラインは発言する本人が決め、結果に責任を持つことが大切です。
■相手尊重して 意見を 臨床心理士で北翔大准教授・沢聡一さん(45)
 インターネットの調査などを見ると、若者や低所得者など普段から不利益を被ることが多い人たちは「スミスさんは悪くない」と答える傾向がありました。
 一方で、不利益を受けることが少ない層には逆の意見が目立ちます。属性によって、受け止め方が変わるのだと思います。
 人が怒りの感情を抱くのは自然なことですが、それを極端に攻撃的に表現したり、逆に周囲を気にして自分を押し殺したりすると、自分や周囲の人々を傷つけてしまいます。相手を尊重しつつ、意見を伝える「アサーション」(自他尊重の自己表現)を意識することが大切です。
 アサーションは、いじめの防止や子どもへの虐待防止にもつながります。
 その場でうまく表現できないなら、時間をおいて伝えても良い。後悔しない怒り方を身に付け、自分の感情を大切にすることが重要です。
■「許されない行為」 スミスさん釈明
 3月27日に米国で開かれたアカデミー賞の発表・授賞式で、米俳優ウィル・スミスさんが、賞の発表者を務めていたコメディアンのクリス・ロックさんを平手打ちした。
 脱毛症を公表し、短髪で式典に出席したスミスさんの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスさんに対し、ロックさんが髪形をからかうような冗談を口にしたことが原因とされる。スミスさんはその後、声明で「衝撃的で苦痛を与え、許されない行為だった」と釈明。賞を主催する映画芸術科学アカデミーから退会すると表明した。(尾張めぐみ)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/666943

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30日公開 アイヌ民族幻の祭祀の記録映画 豊川さんナレーターを担当 道内各地で活動

2022-04-09 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2022/4/8配信

 アイヌ民族にルーツを持ち、白老町など道内各地で活動している豊川容子さん(44)=札幌市豊平区在住=が30日公開の記録映画「チロンヌプカムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)」のナレーターを務めた。自身がボーカルを務める音楽ユニット「nin…
この続き:727文字
ここから先の閲覧は有料です。
https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/74172/

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[4/8追記]2021年度博物館実習学生企画展『共創~カムイとアイヌと動物と~』を開催します

2022-04-09 | アイヌ民族関連
札幌大学2022年4月 8日

札幌大学では、1月28日(金)から博物館実習企画展 『共創~カムイとアイヌと動物と~』を開催しています。
この企画展は、学芸員課程「博物館実習」における一連の実習の一つとして、学生たちが実際に展示を企画作成し、本学の埋蔵文化財展示室にて一般公開しているものです。
今年度は、アイヌ文化に着目し、特に「北海道の動物」「儀礼」「民具・楽器」の三つを取り上げ、それらとアイヌ文化との関わり、そして歴史について紹介しています。
さらに今回は学生による解説も予定しております(2月28日まで)。ご希望の方は、希望日の前日14時半までに、記載のメールか電話にてご予約下さい。
なお誠に恐縮ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、現段階での見学は学内関係者に限らせて頂いております。
状況が変わり、学外の方への開放も可能となりましたら、このサイト上でお伝えいたしますので、今しばらくお待ちいただけましたら幸いです。
※2021年度博物館実習学生企画展「『共創』~カムイとアイヌと動物と~」のオンライン展覧会を開催しています。下記のタイトルをクリックし、ぜひご覧ください!
① ご挨拶  ② 儀礼編  ③ (儀礼編 補助資料)  ④ 民具・楽器編  ⑤ 動物編 
会期 2022年1月28日(金)~4月22日(金)
開館時間 9:30~14:30
休室日 月・土・日・祝日
※4月11日より月曜も休室となります
観覧料 無料
会場 札幌大学 埋蔵文化財展示室(札幌大学2号館 地階2003室)
• 札幌大学埋蔵文化財展示室についてはこちら
問い合わせ先
【札幌大学埋蔵文化財展示室】
TEL:011-852-9182
E-mail:sumaibun@ofc.sapporo-u.ac.jp
https://www.sapporo-u.ac.jp/news/student/2022/04083731.html

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北極圏での化石燃料採掘をストップせよ! 先住民族のモデル、クアナ・チェイシングホースが拡張する声。【戦うモデルたち】

2022-04-09 | 先住民族関連
VOGUE2022年4月8日
伝統的なラインタトゥーを顔に施し、先住民族のレプリゼンテーションとしてファッション業界で活躍するクアナ・チェイシングホース。北極圏の大自然と人々が直面する過酷な実態を世界に力強く発信する。
BY MASAMI YOKOYAMA

ARTURO HOLMES / MG21 / GETTY IMAGES
「私は北極圏で国立野生生物保護区の原生地域指定獲得のため尽力する国際グウィッチン青年協議会およびグウィッチン運営委員会のメンバーです。永久凍土は生命がはじまる神聖な場所。カリブー(シカ科の動物)はこの地に依存して子孫を繋ぎ、私たちの暮らしも彼らに支えられています。しかし、北極圏の氷は従来の2倍の速度で解け、異常事態に直面しています。その大きな理由が化石燃料の採掘です」
環境活動団体「The Oxgen Project」の取材に対し、こう語るモデルのクアナ・チェイシングホースは、2002年、アメリカ・アリゾナ州ナバホ族保留地ナバホ・ネイションに生まれた。サウスダコタ州のオグララ・ラコタ族と、アラスカのヘン・グウィッチン族をルーツに持ち、モデルになることを夢見た少女は、大手モデルエージェンシー・IMGと契約直後に、カルバン クライン(CALVIN KLEIN)のキャンペーンでデビューした。昨年はメキシコ版『VOGUE』のカバーを飾り、先住民族のレプリゼンテーションとして注目を集めている。
MAHSI’CHOO😭✨🙏🏽to @imgmodels @corian4 @blackberrylizz @mimiyapor for making this happen for me and for being so supportive and uplifting. This is HUGE for me as a little native girl straight out the Alaskan Bush and to see some representation of indigenous peoples. I am so honored and grateful to have been able to work with Fotografía: @inezandvinoodh
Realización: @georgecortina
Peinado: @jamespecis @_antonalexander
Maquillaje: @fulviafarolfi
Casting: @legainsbourg
Producción: @michael.gleeson / @valecollado
Earrings: Melissa Charlie @melissacharlie1254
🥰✨💛🌞
そんな彼女が、環境活動家として頭角を表したのは17歳の時。先住民族の文化を継承するアラスカ州・フェアバンクスのエフィ・コクリーン・チャーター・スクール在学中にアラスカ先住民連盟大会での講演だった。そこで気候変動対策指導者タスクフォースの復活を要求し、北極圏国立野生生物保護区を石油開発から永久に保護するため「Wilderness Designation(原生地域保護区指定)」にすることを訴えた。
永久凍土と伝統を継承するために。
2021年11月、ハリウッド・ブールバードで行われたグッチ(GUCCI)のランウェイを闊歩するモデルのクアナ・チェイシングホース。Photo: Taylor Hill / WireImage
「現在の気候変動の議論には、先住民の声、経験、そして視点が十分に含まれていません。先住民の生活は、代々受け継がれるその土地や生き物に依存しています。ですから私たちは、地球に対して深い精神的なつながりと尊敬の念を抱いています。同時に、次の世代のために伝統や生活様式を維持できるよう、責任も感じています」
そして、北極圏の環境を守るために立ち上がった経緯をこう続けた。
「私たち先住民族は何世代にもわたって、世界の不公平というトラウマに悩まされてきました。私は成長するにつれ、世界のある一部の人のエゴのしわ寄せが、私たちの動物、土地、水、そして生活様式に及んでいることを知りました。社会の仕組みを学べば学ぶほど、先住民族が経験させられる不条理に傷つき、怒りがこみ上げてきました。昨今の気候変動は、その不公平をより顕著にしています。だからこそ、私は北極圏の人のために戦おうと決心したのです。この大地は、私のアイデンティティの一部ですから」
そんな彼女は、主にアメリカにおける気候変動対策が、全く足りていないと強調する。
「環境問題は存在しない、と主張する気候変動否定論者も依然多いのも事実です。だから、気候変動の影響を軽減、もしくは逆転させる政策を成立させるよう、政治権力者にもっと働きかけなければなりません。そして、化石燃料によるエネルギーから脱却し、クリーンで持続可能なエネルギーに早急に移行する必要があります。今こそ、私たち先住民族の声を受け入れる時です」
北極圏を脅かす危険な兆候。
2022年2月、NYファッションウィーク開催期間中に行われた「No Waste」ディナーパーティーに出席した。Photo: Roy Rochlin / Getty Images for NYFW: The Shows
クアナが現在最も危惧しているのが、北極圏の急激な気温上昇だ。アメリカ海洋大気庁(NOAA)が北極圏の気象・環境を分析した「北極圏レポートカード」2021年版によると、4月の北極海の海氷量が、2010年の記録開始以来最少を記録した。また、グリーンランドでは、8月に史上初めて氷床の標高1万500フィート(約3200m)の山頂で降雨が観測されたほか、比較的長期安定していた氷床がほぼ毎年減少傾向にあることもわかった。さらに、秋季(10~12月)も記録的な暖かさとなり、北極圏の気温上昇は地球の他の地域の2倍以上の速さで進行している。加えて、流氷が減少した事で海運商業活動が盛んになり、海洋ゴミも増加。これによって、海洋哺乳類の生存が脅かされている。海洋酸性化のペースも世界で最も速いことも明らかとなり、このまま推移すれば、21世紀半ばまでに夏の北極海から氷が消える、との試算もある。
一方で、北極圏の気温上昇は、先住民の暮らしにも大きな影を落としている。北極圏の分厚い氷が薄くなったことで、海底油田の掘削が可能になり、採掘権を巡る抗争など治安悪化が問題となっているのだ。こうした現状を前に、クアナはこう訴える。
「私たち先住民は以前から気候変動の影響について危惧しており、その影響を受け続けています。以前より改革を推進する人が増えたとは思いますが、それでもまだ不十分です。気候変動は世界的な問題です。これ以上無視することはできません。私はこれからも、この地球のレガシーである北極の大地と動物、そして未来の世代を守るために戦い続けます」
Text: Masami Yokoyama  Editor: Mina Oba
https://www.vogue.co.jp/change/article/models-in-challenge-quanna-chasinghorse

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狂気「北海道はロシアのもの」露の下院副議長、領土的野心あらわ 不法占拠の北方領土で不穏な動き「ウクライナ手詰まりで上陸」に警戒

2022-04-09 | アイヌ民族関連

夕刊フジ4/8(金) 17:00配信
ロシア下院議会の有力議員から「北海道はロシアのものだ」と、領土的野心をむき出しにした発言が飛び出した。ロシアによる残虐非道なウクライナ侵攻に対し、日本を含む西側諸国はロシアへの経済制裁を強化している。有力議員はこれに反発したようで、ロシア軍も不法占拠している北方領土で軍事演習を行うなど不穏な動きを活発化させている。要警戒だ。
「どんな国も、隣国に対し領土要求を出せる。専門家によると、北海道の全権はロシアにある」「日本の政治家は、第二次世界大戦の教訓を学んではいない。(旧日本軍の)関東軍がたどった運命を思い知らせ、その記憶を新たに思い起こさせなければならない」
ロシアのオンラインメディア「レグナム通信」は4日、セルゲイ・ミロノフ下院副議長の、このような発言を報じた。
ミロノフ氏は、ロシア議会で上院議長を務めるなど、ロシア政界では知られた人物だ。中道左派の野党議員だが、ウラジーミル・プーチン政権との関係も近いとされる。
問題の発言は、「専門家」が誰を指すかも不明で、根拠がない。
ただ、旧ソ連は第二次世界大戦末期、日ソ中立条約を一方的に破棄し、「北海道占領」をもくろんで南樺太・千島列島などに侵攻してきた。北の大地は、樋口季一郎陸軍中将の指揮で、日本陸軍第5方面軍が必死に抗戦して死守した。
プーチン大統領は2018年12月、首都モスクワでの人権評議会で「アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する」との考えを示したとされる。
ロシアが、北海道などに領土的野心を持っているのは確かで、「アイヌ民族の保護」などを名目に侵攻してくる可能性もゼロではない。
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「ウクライナの戦況で手詰まり感のあるロシア軍が一転して、在日米軍がいない北海道に上陸作戦を仕掛ける可能性は捨てきれない。日本は中国が威圧する沖縄県・尖閣諸島との二正面作戦を強いられることも想定し、日米同盟をより強固にし、備えるべきだ。これこそが危機管理だ」と語っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c4c4f7c6b098f9ae75dfb7655ed3f03cad64db
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改宗を迫られる東マレーシアの先住民 葉 先秦 【東アジアのリアル】

2022-04-09 | 先住民族関連
キリスト新聞2022.04.08
マレーシアは圧倒的にイスラム教徒が多い、という印象が一般的に強いかもしれない。確かに、同国の人口の60%以上がイスラム教徒であり、特に全人口の半数以上を占めるマレー人は、憲法第160条でイスラム教徒であるべきことが規定されている。しかし、これは西マレーシア(マレー半島)の宗教状況であり、東マレーシア(ボルネオ島)の状況は異なっている。
東マレーシアのサラワク州やサバ州は、半島ほどイスラム教徒が多くなく、マレー人の割合も高くない。特にサラワク州ではキリスト教徒が42%を占め、イスラム教徒の32%より多い。同州には華人のキリスト教徒の他に先住民のキリスト教徒もおり、特に同州北東部の高地とインドネシアの東カリマンタン州との境界に住む「ケラビット族」は、明確にキリスト教をアイデンティティの象徴としている。彼らは元来、長屋を中心とした血縁関係を重んじる共同体であったが、キリスト教の伝来により、長屋の社会的・経済的役割に代わって、教会が集団生活の中心となり、現在では同民族のすべての村落に教会がある。

赤色部左が西マレーシア(マレー半島)、右が東マレーシア(ボルネオ島)
ケラビット族と東マレーシアの他の先住民は、憲法上はマレー人と同様に「現地民」(ブミプトラ)と位置付けられており、特別な権利が保障されているが、実際にはマレー人のほうが他の先住民よりも社会的地位が高い。こうした非マレー系の「現地民」(特に非イスラム教徒)は、奨学金や福利厚生を申請する際、イスラム教に改宗しない限り、マレー人より不利になる場合が多い。そのため、ケラビット族をはじめとする非イスラム教徒の東マレーシアの先住民たちは、近年、イスラム教への改宗を迫られている。特に一部のイスラム教組織は利益をちらつかせて彼らを勧誘する方策を講じ、先住民の牧師たち(特に生活環境が良くない者たち)を入信させようとしたり、時には信徒も含めて集団改宗がなされたりもする。
また2010年には、ケラビット族とルンバワン族の6人の生徒が、学校の成績表の「民族」欄を一方的にマレー人に変更させられる事件があった。このような傾向は、国際的なイスラム復興運動に触発された「イスラム化」の動きと密接に関連している。
さらにマレーシア社会では、イスラム教徒と非イスラム教徒の間での婚姻関係における改宗や「棄教」が、多くの家族問題を引き起こしている。例えば、非イスラム教徒の夫が突然イスラム教に改宗した場合、未成年の子どもたちもそれに従って改宗しなければならない。
マレーシアでは非イスラム教徒だけが改宗する権利を持つのだが、それは言い換えるならば、イスラム教徒になった人は、他の宗教への改宗の許可を得ることはほぼ不可能ということだ(仮に改宗しても、それは「棄教」と呼ばれてしまう……)。こうした出来事は、バリオという地域のケラビット族の村落で実際に起こったことがあり、他の民族でもよくあることだ。もしケラビット族や他の民族の人がマレー人と結婚すると、前者はイスラム教に改宗して宗教や民族的アイデンティティを失うことになる。こうした改宗者は、服装を変え(ヒジャブなど)、ハラルの食事規定の関係から出身地の自分の家族との食事すら拒否しなければならず、従来のコミュニティーのメンバーとの接触も絶たなければならない。こうしたことから、非イスラム教徒の先住民は、信仰の自由が徐々に損なわれ、最終的には民主主義が神権政治に取って代わられてしまうのではないかとさえ懸念しているのだ。

ケラビット族(Webサイト「kelabitty.blogspot.com」より)
このような脅威に対して、ケラビット族はさまざまな対応をしてきた。1998年のある学者の調査によれば、ケラビット族はキリスト教と教育普及とを意図的に利用して、民族的アイデンティティとコミュニティー内の境界を強化しているという。ある者は、自分たちのキリスト教伝統を守るために、イスラム教の布教活動を禁止すべきという過激な主張をする人もいるが、大多数のケラビット族はそれを支持せず、むしろ祈りや政治活動を通して、「地の塩・世の光」としてマレーシア社会に参与しようとしている。
マレーシアの「先住民」に位置付けられている各民族は、マレー人と同じ権利と保護を共有していると思われがちだが、実情は大きく異なっているのだ。現地の華人やインド系民族に比べて、こうした先住民に対する改宗圧力は大きい。
筆者の知人で東マレーシア出身のある先住民牧師は、西マレーシアで最もイスラム色の強いクランタン州に赴いて奉仕している。というのも、大学進学のために同州に移った先住民のキリスト教徒たちの信仰を守り、彼らがイスラム教に改宗させられるのを阻止する必要があるからだ。
今後も、東マレーシア先住民の生存と信教の自由を注視していきたい。(翻訳=松谷曄介)
葉 先秦 Iap-Sian Chin 1981年生まれ、台湾新北市出身。中原大学(台湾・桃園市)修士課程で、ペンテコステ派の神学と歴史の研究。政治大学博士課程で真耶?教会をテーマに博士号。現在、政治大学華人文化主体性研究所特任研究員。
https://christianpress.jp/53687/

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この世界に言葉で表現できないものはあるのか?アマゾン先住民に1年間密着した映像人類学者の「頭の中」

2022-04-09 | 先住民族関連
現代ビジネス2022.04.08

小笠原 博毅, 太田 光海 プロフィール
マルチスピーシーズ人類学に対する共感と違和感
小笠原:ちょっと時間がなくなってしまったんですけれども、誰かお一方だけもし何か質問等あったら手を挙げていただければ。
質問者:太田監督に質問なんですけれども、今人類学とか映像人類学でも、マルチスピーシーズ――いろんな自然とか、魚とか鳥とかに主体性とか、主人公として扱う――というものがあると思うんですけれども、太田監督の作品はそれらとどれくらい近いか、というか距離があるのか、というのを伺いたいです。自然の生活がフィーチャーされているけれども、セバスチャンらが語ることでいろいろ教えてくれるし、診療のシーンもあるし、どれくらい影響というか、太田監督がそういうことを意識していらっしゃるかを伺いたいです。
太田:非常に重要な質問ですね。僕とマルチスピーシーズ・エスノグラフィーの関係は非常に濃くもあり複雑です。まず、最初に言いますと、僕は基本的にそういうものを沢山読んでいます。読んでいて、彼らのステイトメントとしての立場には共鳴するものがあります。やっぱり人間主体だけではない世界理解というものが今後どんどん必要だなという意識には共鳴していて、それをこの作品の中に一部落とし込んでもいます。
同時に、僕が彼らの著作を読んで疑問に感じるのは、動植物の目線や人間以外のものというのを民族誌の中に取り込みたいと言いますけれども、それってどこまで可能なのだろうか、というのは疑問として残っています。やっぱり自分が、例えば今こうして目で見ている光景って、馬とは違うわけですね。馬って後ろの方も見えるって言うじゃないですか。もしくは鳥とも違う、魚とも違うわけですよ。犬よりも僕は嗅覚がないし。感覚のレベルというのが、結局僕はどこまでいっても人間なんですね。
そんな中で、マルチスピーシーズ・エスノグラフィーは、特に僕は当時イギリスで研究していたので、英語で書かれたものを読むと、頻繁にポスト・ヒューマニズム的文脈で語られていますけれども、そこにある種のニヒリズム、人間不信のようなものも根底にあるような気がします。僕はそのニヒリズムみたいなものに行く前に、もうちょっと人間を通してやれることがあるんじゃないかという思いに至って、あえてこの作品もそうですけれど、僕の博士論文でも、人にフォーカスが行くような書き方、撮り方をしているんですね。
じゃあただ人の物語で終わるのか、というとそうではなくて、人が周りの自然とどういう風に関わっているのかということを、人間が主体ではないかもしれないということを、示唆するような形で表現することに拘りました。僕がその時に重視したのは、彼らが周りと物質的な関係をどのように結んでいるのか。具体的には飲食ですとか、薬草をどう摂取するとか、風が吹いたらどうそれを感じているのか、とかそういうものを重視しました。
マルチスピーシーズ・エスノグラフィーの文脈でよくアマゾンの事例が出ますよね。具体的に言うとエドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロとか、エドゥアルド・コーンとか。そういう著作が最近日本語に訳されて注目されていますけれども、彼らがベースにしている議論の主体というのはかなり神話に寄っているなと思うんですね。
つまり彼らは、先住民の人達の語りを通して神話みたいな話を聞いて、「なるほど、彼らはこういう神話を語る。ということは、彼らの世界把握というのはこうなっている」という論理展開が比較的多いなと感じていて、この作品の中にそういう伝統的な神話の語りというものは出てきていないし、僕の博士論文でもそこまで細かく扱っていないです。
それはなぜかというと、そういう言葉というか神話的語りよりも、僕は日常生活のなかで彼らが何に触れて、何を食っていて何を飲んでいてという方が、むしろマルチスピーシーズ・エスノグラフィーというのならば、より必然性があると考えています。
実際現実に彼らがそのように生きているものから立ち現れる物質世界とか、そこから出る精神性みたいなものによりフォーカスを当てたものにしています。なのでまとめますと、非常に共感はしていて、敬意はあるんですけれども、最終的なアウトプットとしてはちょっと違うかなと思っています。ちょっと長くなりましたかね。
小笠原:いえいえ、ありがとうございます。すみません時間が来てしまいました。これで太田監督とのトークを終了したいと思います。どうもありがとうございました。
『カナルタ 螺旋状の夢』予告編
【映画紹介】
『カナルタ 螺旋状の夢』は、映像作家・文化人類学者の太田光海によるドキュメンタリー映画である。南米エクアドルのアマゾン熱帯雨林に住む先住民、シュアール族の集落に太田監督自ら単独で1年間滞在し、現地の人々と日常生活を共に過ごすことで深い関係を築きながら撮影された作品だ。英マンチェスター大学で博士号取得のために行われた文化人類学的フィールドワークを土台にしながらも、本作はシネマ、アート、エコロジー、社会政治批評など、様々な観点から見応えのある分厚い映像的体験を織りなしている。昨年10月のシアター・イメージフォーラムでの封切り以来、すでに全国27館で上映され、多方面から反響を呼び続ける本作は、遥か遠くに住む他者の姿を映し出しつつ、彼らとの距離の捉え方や、我々との間にある「違い」の定義自体を問い直す。また、ナレーションやテロップを省き、大胆に鑑賞者を熱帯雨林のリアリティに投げ込むことで、「生きる」ということの概念をもう一度組み立て直すことを我々に迫る。本作で提示された数々のテーマは、いまだ深い反芻の過程にあると言えるだろう。
URL: https://akimiota.net/Kanarta-1
4月23日から29日まで下高井戸シネマで上映予定!
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/b/index.html
円結(岡山県総社市)で4月22日から25日まで上映予定!
https://www.facebook.com/events/304583018458839/304583045125503?event_time_id=304583045125503
【謝辞】
トークの録音起こし作業を手伝ってくれた神戸大学国際人間科学部の泉史織さんと横川颯太さんに記して感謝いたします。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94111?page=4

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地球の前で抗議

2022-04-09 | 先住民族関連
AFP2022.04.08

大きな地球儀の前で手を取り合うブラジル先住民パタソ族の人々。同国の首都ブラジリアでは年1回、各地から先住民が集まり、自らの土地と権利の一層の保護を訴えるイベントが10日間にわたって開かれる=7日撮影 【AFP時事】
https://matsudo.keizai.biz/gpnews/1091341/

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「以衆人堅城砦=<アイヌ民族がなびかぬように>」 幕府東蝦夷地直轄政策220408  

2022-04-09 | アイヌ民族関連
Plaza.rakuten2022/04/06

「以衆人堅城砦=<アイヌ民族がなびかぬように>」 幕府東蝦夷地直轄政策220408
2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。その前にはクリミヤ半島の領有と言うこともあった。
日曜日朝のワイドショー番組で、藪中三十二氏は次のように発言したように思う(録画してあるわけではないが)。
「USAは危機感を示し、『始まる、始まるぞ』とは申すも、なにもしようとしない」。
最近、ANNニュースが報じたという。2022/04/07 https://www.youtube.com/watch?v=gn-RJAi9l9A
「北海道を巡るロシア下院議員の発言 領土的野心の表れか(2022年4月7日)」 
<411,339 回視聴>。視聴記録は残されているようだ。識者は「ロシアのプロバカンダ、あおられることはない」と評してはいるが。
その前には、「アイヌ民族は『ロシアの先住民』 プーチン大統領が認定方針」と『北海道新聞』電子版 181218が伝えていた。
https://newspicks.com/news/3543642/
天明5,6年。ウルップ島に至った幕府調査隊は、同島に目にしたロシアの大艦に目をみはった。
寛政元年5月に起きた「クナシリ・メナシの戦い」が起き、日本東方のアイヌ民族社会と本州経済の軋轢と緊張状態が顕在化した。
寛政4年にはロシアの女帝、エカテリーナが派遣したラックスマンが根室に来訪。長崎に回送させて門前払いを食わせている。
いずれも江戸に出現。それは絶対にあってはならないことであった。上記3点を背景にして。
寛政11年正月16日、幕府は東蝦夷地のうち「浦河以東~知床まで」を仮直轄した。
政策の一は、「以衆人堅城砦=<アイヌ民族がなびかぬように>」。
政策の大綱を示す、羽太正養著『休明光記』。
考察するに「銭をかけずに、政策を貫徹」。財政危機に迫られた幕閣官僚の知恵がにじむ。
ウルップ島と択捉島の間に引かれた国境の線。そこには長い時間の蓄積がある。
https://plaza.rakuten.co.jp/pacific0035/diary/202204060000/

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