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アイヌ民族の子供向け勉強会を続けて32年 木村(きむら)マサヱさん

2022-04-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞04/10 10:54

 いじめなどで学校に行けなくなったアイヌ民族の子供が安心して勉強できる場になれば―と、帯広市の私塾「とかちエテケカンパの会」の会長を創立から務めて32年。同会は小中学生向け勉強会を週1回、欠かさず続けてきた。その功績が認められ、3月、日本の文化活動に貢献した人や団体に贈られる第56回吉川英治文化賞を受賞した。
 十勝管内池田町出身。9歳で母親を亡くし、いじめや貧しさから中学1年まで不登校だった。同会は1990年、帯広畜産大の学生らが呼び掛けて設立。既にアイヌ民族の子供へ教育支援を行っていた知り合いの学生に依頼され会長を引き受けた。
 「『(自分が)学校も行ってないくせに何が子供を集めて勉強会だ』って、悪口ばかり言われてね。悔しかったけど、今の子には私ができなかったいろんな経験をしてほしいんだ」
 勉強を教えるのはボランティアが中心で、自身は「見守り役」に徹する。同会の卒業生は300人以上。勉強会以外にもカナダや台湾へ子供たちを派遣し、現地の先住民族と交流し、アイヌ民族に誇りを持ってもらう活動にも取り組んだ。
 アイヌ料理にも詳しい。帯広市主催の料理教室では、十勝産野菜を使ってチェプオハウ(サケの汁物)の作り方を伝えた。「サケを丸ごと1匹さばくと、子供たちの目が輝いた。私にも教えられることはある」
 会の名のエテケカンパはアイヌ語で「手を重ね合わせる」の意味。「アイヌ民族の子が、手を取り合って生きてほしい」と静かに願う。帯広市在住、73歳。(三島今日子)
◆「チェプオハウ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/667796

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