先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<北海道の新刊>「アイヌ語を話してみよう!」など

2025-02-16 | アイヌ民族関連

北海道新聞 2025年2月16日 4:00

 ◆大澤香、瀧口夕美、石川康宏著「アイヌ語を話してみよう!」=神戸女学院大が講義での取り組みをまとめてきた「先住民族アイヌを学ぶ」シリーズの第3弾。日本機関紙出版センター 1540円

 ・・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1123475/


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古式舞踊や即興歌披露 平取でアイヌ文化祭

2025-02-16 | アイヌ民族関連

石井純太 有料記事

北海道新聞 2025年2月15日 19:47

かけ声に合わせ、2人で剣をぶつけながら踊る「エムㇱリㇺセ」を披露する平取アイヌ文化保存会のメンバー

 【平取】日頃のアイヌ文化の伝承活動の成果を発表する「第35回シシリムカアイヌ文化祭」が15日、町中央公民館で開かれ、町内外からの来場者約200人が古式舞踊や口承文芸などを楽しんだ。

 平取アイヌ協会などの主催で、シシリムカはアイヌ語で沙流川の意味。開会式に続き、二風谷アイヌ語教室の子どもの部で学ぶ児童ら18人が、アイヌ語で「あわてんぼうのサンタクロース」や「さんぽ」といった歌を合唱した。

 続いて同教室成年の部の12人が、口承文芸のカムイユカㇻ(神謡)やヤイサマ(即興歌)などを披露。平取アイヌ文化保存会と札幌ウポポ保存会が、それぞれエムㇱリㇺセ(剣の舞)などの古式舞踊を演じ、会場を沸かせた。

 ・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1123861/


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古式舞踊や即興歌披露 平取でアイヌ文化祭

2025-02-16 | アイヌ民族関連

毎日新聞 2025/2/16 地方版 有料記事 445文字

 多様性や人権を尊重した取り組みを道内で促進させようと、札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で15日、「北海道人権フォーラム」が開かれた。12の企業・団体がそれぞれの取り組みを紹介するブースが設置されたほか、筑波大の大塚泰正教授(心理学)による職場での人権環境整備をテーマにした講演会なども行われた。

・・・・・・

 また、チームで外国人選手7人が活躍するコンサドーレ札幌は、アイヌ文化の魅力発信やパラスポーツの普及活動などを実施。選手に対するSNS(ネット交流サービス)での人種差別やスポーツ界の人権侵害をなくそうと、積極的に人権メッセージも発信する。

 ・・・・・・【金将来】

https://mainichi.jp/articles/20250216/ddl/k01/040/044000c


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「SHOGUN 」も手掛ける日本の気鋭監督。アイヌの伝統漁法を復活させたシゲさんの撮影で心掛けたこと

2025-02-16 | アイヌ民族関連

水上賢治 映画ライター 2/15(土) 12:01

題名の「アイヌプリ」とは、「アイヌ式」という意味になる。

 その言葉通りに本作は、変わりゆく時代と社会の中で、「アイヌ式」の伝統や文化を受け継ぎ、実践して生きるアイヌのある家族に焦点を当てる。

 主人公として登場するのは、シゲさんこと天内重樹さん。北海道・白糠町で暮らす彼は、現代の生活を送りながら、自分のスタンスでアイヌプリを実践して、祖先から続く伝統の鮭漁の技法や文化を息子に伝えている。

 作品は、シゲさん一家の日常生活に密着。自身のルーツを大切にしながら今の時代を生きる現代のアイヌ民族のリアルな実像が浮かびあがる。

 手掛けたのは、「リベリアの白い血」「アイヌモシリ」「山女」と過去発表した長編映画がいずれも国際映画祭で高い評価を受け、大反響を呼んだ海外ドラマ「SHOGUN 将軍」(第7話)の監督を務めるなど目覚ましい活躍を見せる福永壮志監督。

 「アイヌモシリ」に続いて再びアイヌというテーマと向き合った彼に、シゲさんにも話に加わってもらう形で、撮影の日々を振り返ってもらった。全四回/第三回

こんなに長い間、撮られるとは思っていませんでした(笑)

 前回(第二回はこちら)は、天内家を撮影するまでの経緯について聞いた。

 では、シゲさんに聞くが、カメラを常に視野にする日々はどうだったろうか?

天内「撮影はずっと楽しかったです。

 ただ、こんなに長い間、撮られるとは思っていませんでした(笑)。
 自分はアイヌの伝統漁法、マレプ漁を別に世に広めたいという気持ちでやっているわけではない。

 自分の手で鮭を獲りたいだけ。

 マレプ漁を復活させたとよく言われるんですけど、僕の中で復活させようなんて思ったことはないんです。

 マレプ漁を始めたのも自然な流れで。
 子どものころ、外でばかり遊んでいて釣りが大好きだった。海でも川でも釣りをしていました。

 で、マレプ漁のことをしって、自分でいろいろと調べたり、長老からマレプ漁の道具の作り方を教わりました。
 そして、道具を手にいれたら、やはり使いたくなるじゃないですか?

 道具を使いたいということはマレプ漁をしたいということになる。それで、ちゃんと許可をとってマレプ漁で鮭を獲るようになった。
 そのことが結果的にマレプ漁の伝統復活になった。

 これがアイヌの伝統文化の継承につながるんだというならば、それはそれで最高だと思います。

 でも、基本にあるのは鮭を自分はアイヌだから受け継がれてきた漁で獲りたいだけ。

 そこまで食育を意識しているわけではないけれども、鮭を獲って食べるまでを子どもに見せれば、食べるということがどういうことなのかわかる。

 食べ物のありがたみや命あるものをいただくことがわかる。
 僕としてはやりたいことをやっているだけで、そこまで伝統文化の復活とか継承とか意識していない。結果として、そうつながっただけです。

 そのことはたぶん福永監督もわかっていた。そここそ福永監督がとりたいところなのではないかとも思いました。

 だから、僕としては変にかっこつけたりする必要はない。ふだん通り、いつもやっていることをそのままやればいいのかなと思っていました。

 自分たちのふだんの暮らしをそのまま撮ってくれているという信頼もありました。

 なので、撮られているストレスはあまりなかったです。

 まあ、事前に来る日は福永監督から告げられてはいるのですが、朝起きたらもうカメラが目の前にいて、びっくりということはありましたけどね」

「アイヌプリ」より

シゲさんの日常の姿がきちんと伝われば大丈夫

 福永監督自身は、撮影のとき、どのようなことを考えていたのだろうか?

福永「正直、どういう映画になるのかまったくわからずに最初は撮っていました。

 ただ、撮った映像をその都度見ていくうちに、だんだん見えてきました。『シゲさんの日常の姿がきちんと伝われば大丈夫だ』と。

 たとえば、シゲさんが息子さんになにか教えているところを撮れば、シゲさんが大事にしていて後世に残したいものが見えてくる。

 シゲさんが普段の生活の中でアイヌプリを実践する姿や、彼の周りの人や環境を見つめていると、シゲさんがどのような意識を持って生きているかや、アイヌを取り巻く社会の変化など、いろいろなものが見えてきます。

 そのようにシゲさんをしっかり撮れば、自然と広がりのある物語になっていくのではないかと思いながら撮っていました」

(※第四回に続く。「アイヌモシリ」の「リ」は小文字、マレプ漁の「プ」は小文字が正式な表記)

【「アイヌプリ」の福永壮志監督×天内重樹さんインタビュー第一回】

【「アイヌプリ」の福永壮志監督×天内重樹さんインタビュー第二回】

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ba944110b99dc7555941f6b3bb6690aab79cc69b


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カナダ、金融機関に多様性情報の開示義務付け

2025-02-16 | 先住民族関連

AFP BBNews 2025年2月15日 12:04 発信地:オタワ/カナダ [ カナダ 北米 ]

【2月15日 AFP】カナダは14日、銀行や保険会社などの金融機関に対し、取締役や上級管理職に就いている女性やマイノリティーの人数を開示するよう義務付けた。

官報で公告されたこの動きは、ドナルド・トランプ米大統領が推進する「多様性・公平性・包括性(DEI)」プログラムを廃止する動きとは対照的だ。DEIプログラムは、職場における人種差別や性差別対策を目的としている。

カナダの新規則の狙いは、女性や可視的マイノリティー(先住民族を除く有色人種)、先住民族、障害者の上級管理職への採用促進にある。

政府は官報で「多様性は、金融業界に活気と成功をもたらす基盤となり、カナダの価値観を反映し、その可能性を実現する」と主張。

「企業統治における多様性と包括性は、新しいアイデアやイノベーション、組織のパフォーマンスと成長の重要な推進力」であることを示す研究結果も引用している。

新規則は、16の金融機関に対し、毎年多様性に関する情報を開示することを義務付けるもので、通信事業者や航空会社、鉄道会社などの連邦政府の規制を受ける企業に既に適用されている規制と同様の内容になっている。(c)AFP

https://www.afpbb.com/articles/-/3563095?act=all


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【内田雅也の追球】ボールによる対話

2025-02-16 | 先住民族関連

スポーツニッポン2025年2月15日 

 ヤーガン語は南米大陸の南端部、ティエラ・デル・フエゴ島に暮らすチリの先住民族、ヤーガン族が話していた言語の一つだった。過去形なのは2022年に最後の母語話者が亡くなり、消滅したからだ。

 「マミラピンアタパイ」という語がある。意味は「同じことを望んだり考えたりしている2人の間で、何も言わずにお互い了解していること」。

 さまざまな国に移り住み、言語や文化に興味を持ったエラ・フランシス・サンダースが19歳当時に出したイラスト本『翻訳できない世界のことば』(創元社)にあった。

 映画『ドライブ・マイ・カー』の劇中劇で数カ国から俳優が集まり、自国語でセリフを話す。言葉ではなく相手役の感情や動作をみて反応しなくてはならない。

 韓国人イ・ユナは聴覚障害で聞けるが話せず、手話を使った。「自分の言葉が伝わらないのは私にとって普通のことです。でも、見ることも聞くこともできます。時には言葉よりたくさんのことを理解できます」

 阪神監督・藤川球児がきょう15日に対外試合初戦を迎える実戦でのテーマ「あうんの呼吸」である。言葉がなくても意思が通じるのは世界の言葉をみてもわかる。この日は休日。前日の続きとして書いてみる。

 岡田彰布(現球団顧問)は二塁転向となった1985(昭和60)年2月の安芸キャンプで遊撃・平田勝男(現2軍監督)との併殺コンビで相当にノックを受けた。当時監督で先日他界した吉田義男が「どんな打球ならどこに投げてほしいか、言わなくてもわかるようになる」と語っていた。

 基本はキャッチボールだろう。<二人の気持ちがしっくりいったときにはボールは真っすぐに届いた。しかし気持ちがちぐはぐなときにはボールはわきにそれた>と寺山修司が『野球の時代は終った』で書いている。

 伊集院静の小説『ぼくのボールが君に届けば』には野球をする女の子の魅力的なセリフがある。「キャッチボールをすると、その人のことがよくわかるような気がするの。受け止めた時の感触で、強さや、やさしさや、切なさまでが伝わってくる気がするの」

 藤川は昨秋の監督就任直後、投手陣に「キャッチボールを丁寧にやろう」と指示した。野手にも同じことが言える。ボールを通じての対話でチーム力を高めていくのである。 =敬称略=

 (編集委員)

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/内田雅也の追球-ボールによる対話/ar-AA1z5hES?apiversion=v2&noservercache=1&domshim=1&renderwebcomponents=1&wcseo=1&batchservertelemetry=1&noservertelemetry=1


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大阪・関西万博 南米チリの展示品が到着 伝統の手織物展示へ

2025-02-16 | 先住民族関連

NHK 02月15日 07時41分

大阪・関西万博まで2か月を切り、参加国の展示する品々が届き始めています。
南米チリのパビリオンで展示される伝統的な手織物も大阪の港に届き、14日、関係者が状態を確認しました。
4月に開幕する大阪・関西万博の会場では、各パビリオンの外観がほぼ完成しつつあり、内装の仕上げや展示の準備が本格化しています。
このうち、南米チリのパビリオンで展示される品々は、1か月半の船旅を経て、大阪・南港に到着し、14日、関係者が見守る中、コンテナから取り出されました。
チリのパビリオンでは、先住民の伝統や文化が紹介される予定で、シンボルとなる展示は、幅5メートルあまり、奥行き13メートルの構造物の周囲や屋根を覆うタペストリーです。
先住民の女性200人が伝統的な手法で織り上げたもので幾何学模様の色鮮やかな手織物が姿を見せると、関係者らは安心した様子で状態を確認していました。
立ち会ったチリのロハス駐日大使は、「無事、手織物が大阪に届いてうれしいです。チリの伝統を表現したものなのでぜひパビリオンで、直接見て感じてほしい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250215/2000091712.html


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【北海道の難読地名】北海道の東部にある「徹別」って何と読む?その由来は?

2025-02-16 | アイヌ民族関連

リビング札幌 02月15日

北海道といえば、難読地名の宝庫!道民ならたいてい知っているけど、それ以外の人からは、なんて読むか分からない地名がたくさんあります。

そんな地名を探して、クイズにします!

北海道の東部にある「徹別」は何と読む?

網走市にある「徹別」。有名な観光スポットもあるこの場所、何と読むか分かりますか?

さて、正解は?

正解は・・・

「てしべつ」でした!

その由来は?

アイヌ語の「テシ・ペッ」が語源とされ、「梁(やな)の川」とのこと。「梁」とは、川をせき止めて魚を捕るための仕掛けを指し、かつてこの地域で川をせき止めて魚を捕る場所があったことに由来していると言われているそうです。

阿寒町ということで、ここから1時間ほどのところには特別天然記念物のマリモが生息することで知られる阿寒湖があります。

また、少し手前には阿寒湖アイヌコタンという、民芸品店・飲食店などの店舗やアイヌ文化専用の屋内劇場、博物館や工芸品を収蔵したギャラリーといった施設が立ち並ぶ集落があります。アイヌ文化を身近に感じられる場所とあって、多くの観光客が訪れます。

◆阿寒湖アイヌコタン

https://akanko-ainukotan.com/

札幌や近郊のグルメ&お出かけ情報を見るなら「リビング札幌Web」!

https://mrs.living.jp/sapporo

#北海道 #阿寒町 #難読地名

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/北海道の難読地名-北海道の東部にある-徹別-って何と読む-その由来は/ar-AA1z56GP?ocid=BingNewsVerp


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東大とガザ【後編】大学はパレスチナ問題とどう向き合うか 岡真理教授インタビュー

2025-02-16 | 先住民族関連

東大新聞 2025年2月15日

 2023年10月に始まったパレスチナ・イスラエル間の武力衝突は、15カ月にわたる戦闘の末、今年1月19日に停戦が発効した。徐々に人質の解放が進んでいる一方で、ガザ地区では人道的危機が今もなお続く。東大では、学生や教職員による即時停戦を求める署名活動、学習ゼミ、連帯キャンプなど、多様な活動が展開されている。前期教養課程でのパレスチナ問題に関する授業の開講や、大学院情報学環でのアルジャジーラ(中東・カタールの衛星テレビ局)とのVRコンテンツの共同開発など部局単位での取り組みは見られるが、大学としての声明はまだ発出されていない。東大で広がる連帯の動きに、大学はどう応えるのか。(取材・渡邊詩恵奈)

【前編はこちら

岡真理教授に聞く「社会正義」が問いかけるパレスチナ問題

 イスラエルによるガザ攻撃が続く中、東大では2024年度のAセメスターに社会正義の観点からパレスチナ問題の本質を見つめる「社会正義論」が開講された。学生らは授業を通じて、「パレスチナ問題」をどう受け止め、どのような学びを得たのか。本講義の背景や意義について本年度の講義を担当する岡真理教授(早稲田大学)に話を聞いた。

──本年度Aセメスター開講の「社会正義論」を担当することになった経緯は

 2023年10月7日に始まったイスラエルによるガザに対するジェノサイド攻撃が継続しているという状況下で、パレスチナに関する基本事項を学生に共有する必要があると福永玄弥先生など東大教養学部附属教養教育高度化機構D&I部門の方々がお考えになったようです。23年の11月末に開講依頼をいただき、私としても喜んで引き受けました。とりわけ前期教養課程の授業ということで、専門にかかわらず幅広い学生にパレスチナのことを知ってもらう良い機会だと思いました。

──「社会正義論」の授業ではパレスチナ問題に関して、具体的にどういった内容を扱っていますか

 ガザへの攻撃は2008年から09年にかけての攻撃以来、これまで何度も繰り返されてきましたが、今回は、これまでとは比較にならない異次元の規模の攻撃が、15カ月以上も続きました。ガザでは、紛れもない大量殺戮(さつりく)や戦略の一環として飢餓が起きています。ドミサイド(意図的な住居の大量破壊)で住民の8割以上が家を破壊され、医療システムも組織的に破壊されました。イスラエルがそもそも入植者植民地主義の国であり、民族浄化の暴力によって建国された、ユダヤ人至上主義のアパルトヘイト国家であることを問わなけれなりません。今回の攻撃は、まさに21世紀のホロコーストとも言うべき、人類の現代史における類例のない事態です。主流メディアの報道では、そこまでの事態であるという認識は持ち得ません。この現実をまず、認識してもらいたいと思います。

 授業では、こうした状況が今回の侵攻で始まったわけではないという点を強調しました。主流メディアは起きている事態の本質を報道しませんし、その事態が由来する歴史的文脈をむしろ隠蔽(いんぺい)しています。何が今の事態をもたらしたのか、問題の根源とは何なのかを伝えることに注力しました。さらに、これはイスラエルという国だけの問題ではなく、近代の植民地主義が作り上げた現代世界における、西側諸国など日本を含めた世界規模の、人種化された収奪のシステムが背景にあります。来年度はこうした点も掘り下げた授業ができれば良いなと考えています。

──D&I科目として開講されているという観点から意識していることはありますか

 米国大統領選に関する報道で、女性嫌悪が強いアメリカ社会で女性のハリスが大統領になったら世界中の女性たちに勇気を与えるだろうという知識人の発言が紹介されていました。しかし、ガザでは、度重なる避難と攻撃下の生活の中、多くの女性が流産し、麻酔薬もないまま帝王切開し、出産後数時間で新生児を抱いて何時間も歩いてテントに帰るという過酷な現実が続いています。ハリスは、イスラエルのジェノサイドと共犯するバイデン政権の副大統領で、この戦争犯罪の責任者のひとりです。その彼女が大統領になっても、パレスチナ人の女性は、決して勇気づけられません。「世界の女性」に、彼女たちは入っていないのです。私たちが「人間」や「世界の女性」を語るとき、誰がその中から排除されているのか考える必要があります。パレスチナを考えることはグローバルな意味でのD&Iにもつながります。

──授業を通じて学生に学んでもらいたいことは

 前期教養課程の授業なので「社会正義論」はいろいろ関心を持った方が履修しています。ホロコーストやヒロシマ・ナガサキが、人間にとって普遍的な問題であるならば、ガザのジェノサイドも同じです。しかも、その歴史的な根っこは、ヨーロッパの植民地主義やナショナリズム、反ユダヤ主義にあります。しかし、ヨーロッパを専門とする日本の人文学者たちの多くは、この出来事を自分たちとは無関係な特殊事例のように捉えているように感じます。パレスチナ問題は中東の研究者だけに関わることとする態度は、人文学それ自体の死にも等しいと思います。直接的な専門領域にかかわらず、私たち一人一人がこの問題にどう関わっているのかについての自覚を、授業を通して促したいと思っています。

──学生からの反応はどうでしたか

 都市設計に関わりたいという工学部の学生が、ガザの大量破壊の現実を知って、都市設計という仕事がいったい何を意味するのか、疑問を抱いたと言っていました。一つの街全体を瓦礫(がれき)の山にしてしまうような暴力的事態が起きているのに、あたかもそのような現実が存在しないかのように都市設計を続けることなどできないというのは、当然の反応だと思います。工学教育の中でも平和教育が重要な構成要素として位置付けられています。平和でなければ都市設計はできないという点を理解してもらえたことが非常にうれしく感じました。

 受講生の中には積極的にパレスチナに関する情報を追っている人もそうでない人もいるので、知識の量によって、授業を聞いてどういう疑問や感想を持つかも違ってきます。一方的にパレスチナの側に立った、政治的に偏った内容と受け止める人もいます。この問題が、歴史的な植民地主義やレイシズムに基づく人権抑圧の問題であることを理解していないと、「中立」ではないことを否定的にとらえてしまうでしょう。イスラエル側の主張を検証せずに報道する日本の主流メディアの言論空間自体が、極めてイスラエル寄りだという認識や、「中立」とは何を意味するのか、そこに抑圧があるとき「中立」は抑圧に加担することになるという批判的な思考が必要です。また、高校の時に世界史を選択していない人がいるということも衝撃でした。確かに京都大学で教えていた時も「入試で世界史をとらなかった」と言う学生はいましたが、高校で世界史が未履修という場合があり得るというのは、現代世界を私たちが認識する上で大きな問題です。

──パレスチナ問題に対する東大としての対応に関してどうお考えでしょうか

 東大や日本の諸大学だけではなく、例えば医師会や弁護士会、ジャーナリズムに携わる者がパレスチナで起きていることの内実を理解していたら、声明を発出して当然だと思います。龍谷大学などは即時停戦を求める声明などをいち早く出していますが、私がいる早稲田大学にせよ東大にせよ、大学として声明を出さないというのは、西側諸国を中心とした既存の世界システムの中に組み込まれているからでしょう。大学自体を学内の者として批判していき、その学知が何のためのものか問うことが必要です。声明を出さないのは、人権や平和、民主主義が大学にとって体裁の良い標語に過ぎないということを物語っていると思います。

──学生によるパレスチナ連帯のアクションが実施されています

 今、多くの若い人たちが声を上げ、行動を起こしているのは、ある意味で希望を与えるものだと思います。「ある意味で」という留保をつけたのは、そうした行動がこの未曽有のジェノサイドがあったからこそ起こったということを忘れてはいけないからです。一般市民の関心がここまで高まっているのも、主流メディアの不十分な報道でも、ガザで起きていることが大量殺戮に他ならないことが共有されているからこそです。

 SNSの普及によりパレスチナの情報が共有され、運動に結実しています。ただ、SNSがなかった頃は主流メディアが報じる情報が社会的にある程度共有されていましたが、今や新聞やテレビが事態を十分に報じない中、SNSで現地の情報を積極的に得る者と全くアクセスしない者との間に分断が生じています。学生や若者による運動がSNSで共有されて盛り上がりを見せる一方、それが社会的には限定的なものになっている。政府企業、大学がイスラエルとの関係性を重視して、ジェノサイドを行っているイスラエルを抑制できていない現実があります。これを止めさせるために、運動をどう全市民的なものとして広げていくかが今後の大きな課題です。

──パレスチナ問題や今回の侵攻に関して、読者が最低限知っておくべきことは

 1年以上さまざまな場所で話をしてきて、パレスチナ問題についてしっかり理解するには、その歴史的起源に関わる「植民地主義」の理解が重要であると感じています。パレスチナ問題の根幹をなす植民地主義や占領は、日本自身が歴史的にも今日的にも行っていることです。満州国建設やアイヌ・モシリの侵略は入植者植民地主義です。私たちはそれを世界史や日本史の授業で学びますが、問題なのは「植民地主義」とは何か、「占領」というものがどれほど暴力的であるのかについてはほとんど教わっていないことです。「植民地支配をした」「占領した」ということは知っていても、支配される側、占領される側にとってそれは、具体的にどのような暴力であったのか。

 日本によるアジア諸国、そして沖縄やアイヌ・モシリへの歴史的かつ今日的な暴力を正しく知っていたら、パレスチナ問題とイスラエルの関係についても理解できると思います。しかし、そうした理解の基盤がないまま「植民地主義」という言葉で説明しても、素通りされてしまうのが現実です。この問題を単にパレスチナや中東の問題として捉えのではなく、日本やアジアにおける私たち自身の歴史との連関で捉えることが大切です。

──パレスチナ問題を根本的に解決するために、一人一人にできることは

 パレスチナ問題に直接取り組むと同時に、日本の私たちは、日本社会の脱植民地化に取り組む必要があります。そして、パレスチナ人に対する暴力の上にしか成り立たないイスラエルという国家が、日本社会において同盟国として強固に位置付けられている現状を変える必要があります。そのためにはイスラエルという国家がどのような国家であるのかを、一人一人がしっかりと理解し、周りの人々とその認識を共有すること。主流メディアに問題の本質を報道するよう働きかけると同時に、現状のシステムによって成り立つ企業メディアの報道には限界があるので、主流メディア以外の手段を通じて、正しい認識を社会に広めていく努力をしなければならないと考えます。

 これまでは、攻撃で多くの人々が殺されても、停戦になるとすぐに忘れ去られてきました。メディアは戦争が起きたときだけ注目し、停戦になると問題は解決したかのように扱います。しかし、問題の根源はイスラエルの入植者植民地主義とアパルトヘイト体制という歴史的、政治的な不正です。問題のこの根本を抜きにしてパレスチナの平和も世界の平和もありません。

停戦発効を受けて

 ガザでは今年1月19日に停戦が発効し、イスラエル側の人質・捕虜と、イスラエルの刑務所に勾留されていたパレスチナ人の被収容者たちの解放が進行し、27日には避難民の北部帰還も始まった。停戦によりミサイルなどによる大規模な攻撃は停止しているものの、イスラエル軍は停戦を侵犯し、パレスチナ人住民の殺害は続いている。ガザの停戦が恒久停戦となるかは予断を許さない。一方、西岸に対するイスラエル軍の攻撃は激化の一途をたどっている。国際社会がイスラエルの戦争犯罪を裁き、国際法違反の占領を止めさせ、そのアパルトヘイトに終止符を打つことなくして、パレスチナの平和も、世界の平和もない。

岡真理(おか・まり)教授(早稲田大学)/88年東京外国語大学大学院修士課程修了。京都大学大学院教授などを経て、23年より現職。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。著書に『アラブ、祈りとしての文学』、『ガザに地下鉄が走る日』(以上、みすず書房)、『ガザとは何か』(大和書房)ほか。

https://www.todaishimbun.org/palestine2_20250215/


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