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松尾貴史のちょっと違和感 ロケ先の利尻島にて こんな偶然ってあるの?

2025-01-12 | アイヌ民族関連

毎日新聞2025/1/12 東京朝刊 有料記事 1590文字

私が27歳の時(1987年)、関西テレビの「ワイドショーWHO」という番組のロケーション撮影で、北海道の利尻島へ出かけた。稚内の西側に礼文島と並んで浮かんでいて、「利尻富士」とも呼ばれる利尻山でも有名だ。海底噴火によってできたそうで、平たい円すい形のようになっている。利尻昆布やウニなどでも有名だ。

 礼文島の「礼文」はアイヌ語の「レプン」で、「沖」という意味だと聞いた。島は「シリ」と言うので、アイヌ語では「レプン・シリ」となる。「利尻」の「利」は「高い」という意味の「リイ」で、高い山(利尻富士)のある島だから「リイ・シリ」なのだ。つまり、「利尻島」は「シリ」に「島」を付けてしまっているので「高い島島」と言っていることになる。「フラダンス」が「フラ(踊り)」に「ダンス」を付ける「踊り踊り」であったり、「チゲ鍋」が「チゲ(鍋)」に「鍋」を付けて「鍋鍋」になったりするようなものだ。地図で英語の表記を見ると、「RISHIRITOU ISLAND」。「高い島島島」になっていて笑ってしまった。

 番組でご一緒したのは、当時20歳の詩人で俳優の川津花さんだった。現地の風景は利尻富士も含めて本当に美しかった。夏とはいえ冷たい海水で泳がされて閉口したことや、漁師さんの小舟に乗せてもらいその場で取って食べたウニの味など、最近のようによく覚えている。

 その日はまだ明るいうちに早々と撮影を終え、スタッフは実景(編集で使う風景などの映像素材)を撮るので、我々は先に宿で待っているように言われた。ところが泊まるはずだった民宿の都合で、急きょ宿泊先が変更になってしまった。当初とは異なる民宿に向かい、ロビーというよりも廊下の突き当たりに置かれたソファでくつろいでいる時だった。鴨居(かもい)の上に、有名人のサイン色紙が丁寧に額装され、ずらりと並んでいる。「宇津井健」「高品格」「勝呂誉」「倉石功」など、往年の名優たちの名前が記されていた。日付を見れば1967年とある。その頃大人気だったテレビドラマ「ザ・ガードマン」の撮影で、一行が訪れた時に宿泊したのだった。

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(放送タレント、イラストも)=1月7日執筆

 このコラムをまとめた松尾貴史さんの著書「違和感にもほどがある!」(毎日新聞出版)が発売中です。

https://mainichi.jp/articles/20250112/ddm/012/070/015000c

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