赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

『つなみ てんでんこ はしれ、上へ!』 指田和

2013-07-04 08:39:21 | 日記
昨日、会報部の集まりで指田和さんが七夕用の短冊をもってきました。指田さんは3.11以降、釜石に常駐のように通っていて、宝来館という旅館の復興を手伝いながら、地域の人を元気づける活動をしています。今回の短冊も、釜石の方々を元気づけたい、活気づけたい、という気持ちのようです。

今年になって、被災地も淋しくなってきたと指田さんは語りました。去っていかれた方もいるそうで、復興への道のりはまだまだ厳しいようです。

指田さんの絵本、『つなみ てんでんこ はしれ、上へ』伊藤秀男・絵 ポプラ社をどうかみなさん見てください。丹念な取材で、3.11の時の子どもたちの様子が描かれていて胸をうちます。また、それを描いた伊藤さんの絵がすごい。


とくに真ん中で両方に絵が見開く場面。これは、絵巻のようにしたいと伊藤秀男さんがご自分で提案され、600人の生徒の顔、全部を描かれたそうです。

あとがきもいいですが、おまけの「てんでんこ新聞」も心にしみてきます。
寒い時期、逃げていった子どもたちの後を先生が見守りながら行くのですが、たくさんの上履きが脱げていたそうです。冷たい大地の上をどんな気持ちで走ったかと思うと……。

600人の子どもが逃げた距離は、坂道の2キロ。めざしたのは、恋ケ峠というすてきな名前の所でした。けれども、そこから見えた景色は、その名前とは違うものだったと思います。

子どもたちは、悲惨な経験の中からたくましさを学びました。きっと、これから自分の力で未来を切り開いていってくれると思います。思いたい……。
わたしも引越が終わったら、宝来館に行ってみようかと思いました。たまには、一人旅なんかもいいかな……。