「【第163回直木賞 受賞作】
傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。
犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!」
「家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。
仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。
壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。
体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。
老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。
震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。」
「『少年と犬』は1匹の野良犬の旅を綴った物語。東北から九州まで向かう旅それぞれの局面を短編で描きながら、作品全体をとおして1つの物語となっている作品です。
物語は東日本大震災の5年後、宮城仙台市にてある男性に拾われるところから始まります。外国人の泥棒、田舎で暮らす夫婦、訳ありの娼婦、病気を患う老人。様々な人々と出会いながら、南へ旅します。そして最後の表題作である「少年と犬」でソウルメイトと再会しました。」
読みやすく、わかりやすい短編集でした。
こんなに人の気持ちを理解し寄り添う犬がいるのだとしたら・・。
雑誌への初出は「少年と犬」が最初で、その後東北から九州への各地での物語が順次発表されたようですが・・、順序を入れ替えて物語にしたのも良かったと思います。
(21/07/07画像借りました。)