取合えずQRT、其のまま諦めて家に帰る事も考えたが此れは余りにも悔しくスピーカーさえあれば何とか問題は解決する。車内を見渡すと助手席と運転席のドアにステレオ用のスピーカーが埋め込まれている 此れを使わない手は無い。
すぐにドア下の内張りを外しスピーカーを取り出すも特殊なコネクターで接続されて折、使用出来ない、残念! 次に無線機本体を運転席に持ち込むことを考えたが(無線設備はDC電源、IC-706 AT-180が組み込まれて結線された状態で木箱に入っていたので電源線の予備は無い)取合えずIC-706だけを木箱から取外し助手席に置きトランク内にあるDC電源からIC-706の電気はブースターコード5mが乗っていたので此れで代用して如何にか運用した。
この時の移動は現地まで2時間以上かかっていたので簡単には引き下がれなかった。このトラブル以降の移動運用に出掛ける場合にはマイク、外部スピーカー、ヘッドホォンは勿論の事、ノートパソコンまで予備を持って行く様にしている。
私の移動運用での失敗を挙げれば切が無いが確か2009年の春先、土須峠の移動を計画(場所は那賀町と神山町の境 標高1000以上)徳島在住の人でも大半の人が行った事も無い様な場所、ましてや冬の終わる頃に無線運用の為に移動する様な物好きは居らず この峠からの電波は殆ど聞いた事が無かった。
其処に行くルートは2つ有り、阿南市経由の那賀郡木沢村から入るルートと小松島経由の神山町のルートだが自宅からの距離を考え前者のルートから上った。天気は良く4時頃には土須峠の手前の部落に到着していたが道のそばに『凍結の為通行止めの看板』が立っていた.。仕方が無いので旧、木沢村に引き返し木沢村と勝浦郡上勝町の境界に行く様に変更した。辺りは真っ暗、細い林道をクネクネ上る途中、ドカンと衝撃音と同時に車の左側が持ち上がり、すぐにシューと空気の漏れる音『しまった』と思ったが後の祭り、タイヤが落石を踏みバーストしたのだ。
其の当時は、移動専用の車が無く家内が乗っていたローレルの後部座席に発電機、無線機器や移動に必要な機材や部材はトランクの中に木箱に組み込まれバンドで固定されていた 取合えず路肩の広い場所に移動、タイヤ交換を始めようとするとジャッキも交換用のタイヤもトランクの一番底、溜息混じりに全ての機械や道具を降ろしてタイヤ交換して走行出来る様に成るまでに1時間を要した。(タイヤも大きく裂けて修理不能)
気を取り直し目的地に到着、10mHの逆Vを立て運用開始、無線機はアイコムの706本体とチューナーはトランクの中でコントロールケーブルで運転席の横の操作部と接続されていた。当然、運用中は全てコントロール出来るのだが(此れにも盲点があった。当り前のことだが運用中の音声は操作部のヘッドホォンジャックに挿すヘッドホォンか外部スピーカーもしくは本体スピーカーしか無いのだ)当日、初めて使用するインカム(ヘッドホーンとマイクが一体化された物)使っていた。ヘッドホォンのリード線が異常に細いのは気になっていたがフート・スィツチを使いながら両手でパソコンの打ち込みが出来るので快調に交信は進んでいた。途中で何か物音がしたので振返ると同時に音声が聞えなくなった。最初はプラグが外れたと思ったが外れては無い、リード線が切れたのだ 外部スピーカーは持っていない。もうすでにパイルが始まっている困った。
仕方なくボリュームを最高にしてトランク内の無線機の本体スピーカーの音でQSO開始、しかし音がトランクに反響し音声が明瞭に聞えない 20局程QSOをした段階でQRTせざるを得ない状態に追い込まれて仕舞った。