今回の知床観光クルーズは乗船定員が50名、19トンのクルーザー・ドルフィンⅢを使用した知床岬までのコースにインターネット予約で申し込んだ。此の便は観光最盛期(7月から)は日に2便の運行に成るが私が乗船した6月は14:00出港の1便のみで私達は13時20分頃に集合場所の事務所に向かった。既に20人くらいのお客さんが受付を終わって待機中で私達も急いで受付をした段階で事務員さんにクルーズ中の防寒具の必要に付いて聞いてみた。「航海中は可也寒いし波を被る可能性が有るので其の対応が必要です。」との事、私達は寒い時にスポーツ選手が着る膝下までの丈がある防寒コートを持って居たがレインコートは持って居なかった。家内の自前のコートが波を被るとどうせクリーニング代が掛かるので案内係の女性が勧めた防寒具とレインコートがセットに成った物が500円で貸し出されて居たので其れを利用する事にした。
当日は可也良い天気だったので「此処まで必要なのか?」と正直、出発前では暑くてとても着ては居られ無い四国では真冬モードの防寒具に疑問があった。やがて事務所前に予約申し込み順に呼び出されて二列縦隊に並ばされたので「何事か?」と思ったら「船首に5名分だけの特別席が有るので映画タイタニックと同じ事を経験したい方は申し込み先着順に受付ます」と言われ当然申し込みたかったが先頭に並んで居た人達が全員手を上げたので列の中程に居た私達にはチャンスは無かった。
此の時の乗船客は総勢38名位だったが若い人は12名程で後は殆どがリタイヤ組みの人達でやがてアヒル艦隊宜しく勝手気侭な船着場への5分程の行進が始まった。乗船段階で少し手間取って私達が座ったのは操縦席の屋根が覆っている部分でオープン座席最前列の左側の席で景色を見たり写真を撮るには其の屋根が邪魔に成り良い席では無いと思ったがクルーズの後半部では思わぬ展開が待ち受けて居た。私達の真向かいの右側席は私達より年配の御夫婦、其の横には新婚旅行か?若いカップルが座り其の後ろからは横一列の座席が並び其の最前列に若い女性の三人グループその後ろ側の数列は熟年組が陣取って船首には若い女性を1名含む元気組みが陣取りドルフィンⅢはゆっくりと港を出港した。
今回は知床観光クルーズも十分楽しんだが此のクルーズに乗船した人達の其々の人間模様は興味深い事で有った。最初に登場するのは私達より一寸先輩の御夫婦で大きな犬のゲージ持参で参加して来た。連れて居たのは小さいプードル犬2匹だったが集合場所では若い女性達に「可愛いですね」と言われると実に嬉しそうに対応して居た。船が出港して10分も経つと子犬は寒いのか?ブルブル震え出して子犬は其々御夫婦のジャンバーの胸の中に一匹ずつ納まったが御夫婦は出港前に一言二言の小声の会話は有った物の其れ以後は全く会話が無く成り奥様は無言で只管海の方を向いて観光に夢中だったが御主人の方は目を瞑った侭で観光には全く興味が無い様子・・・・・一体何の為に8000円も出して此の船に乗船したのだろうか?先程まで子犬の事に注目され嬉しそうに自慢話をして居た時とは別人状態であった。
次に登場するのが若いカップルで新婚旅行か?男性の方はイチャイチャ・モードで有ったが軽装で十分な防寒対策をして居なかったので度々下のキャビンの方に戻って居たが女性の方は同じ軽装でも寒さを気にする事無く観光モードバリバリで頑張っていた。男性は時折上がって来ては彼女に下のキャビンに降りる様(2人だけの世界に浸りたかったのだろう?)に促して居たが女性は最期まで其れを却下、(高いお金を払って乗船して居るのに景色が見辛い下の部屋等には降りられませぬ状態!)其の一部始終を見て居て微笑ましくも有り相手にされない男性の様を見て居て面白かった。
一番興味が有ったのは若い三人の女性グループの特に其の中央に座って居たのは可也美人のお嬢さん、其の美貌をアピール全開モードの軽装の上に薄い透明のビニール雨具を着ていて野暮な恰好等はして居られませぬ状態で頑張って居たが船が出港して暫くは三人で景色を楽しんで居たが知床岬の突端まで行く頃に少し雨が降り始めると気温が下がり始めて可也寒い状態に成ると目を瞑った状態で俯き加減で何故か手を合わせて拝んで居る様な仕草で他の2人に只管合わして辛抱して居る修行僧の様な感じで耐えていたが最期まで其の席を立つ事は無かった。
此の段階に成ると舳先で頑張って居た連中も何時の間にか居無く成ったので家内に「舳先で頑張って居たメンバーも流石に耐え兼ねて船室に逃げ込んだのか?」と話掛けたら直ぐ後ろから「いいえ、風と雨音で観光案内放送が聞えなく成ったので此処に移動して居ます。」と女性の声が返って来て「あちゃ~!」状態に・・・・・
私達は此の時点では写真の船の操縦席の屋根が後ろに向かい出っ張って居る下の部分で風や雨が防げ然も観光案内が流れるスピーカー近くの一番良いのポジションに居たので舳先に居た一人の若い女性が直ぐ近くに移動して居る事に気付かなかった。
雨を避ける為に船足を上げたら其れまで辛抱していた皆さんも一人減り2人減りし誰かの小説と同じで「やがて其処には誰も居なくなった。」状態の後部座席、乗船した当時は最悪に思われた私達の座席が天候の急激な変化で最期では一番良い座席と成った。知床岬の先端から帰る方向に30分程航行したら雨雲の下を通過した旨のアナウンスが有り雨が小降りに成ると段々とオープン・デッキに人が集まり賑わいは以前の状態に戻った。知床観光も面白かったが天候状況の変化の中で微妙に変化する人間模様の観察も面白かった。矢張り私は少々品性や根性がひん曲がって居る事を自覚した。
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