まさか、北海道旅行の最終日に出会うとは。地下鉄の駅で「吉増剛造展」のチラシを見た。会場は北海道立文学館。宿泊ホテルから近い。手招きされたような気分というのは、半分冗談だが、空港に向かう前、午前中、中島公園の中を歩いて訪れた。文字を刻み込んだ銅板が入り口へと誘う。「書物」「声」「撮る」「書く」「打つ」「教室」「写す」というエクリチュールが会場に溢れる。吉増剛造という巨大なエネルギーの一端が会場にあった。ノートにあふれる文字。それは密集しながらエクリチュールとして存在している。詩の細部に飛躍続ける言葉の連鎖。それが楽しい。この展示会の図録ではなく、道立文学館が制作した一冊の本は、吉増の様々な詩句や文章を閉じこめながら、それ自体が展示会の顔であり、また、一冊の書物というエクリチュールになっているようで、封じられた言葉たちが刺激的である。いい一冊だ。それから道立文学館の北海道ゆかりの作家たちの常設展。こういった地元へのアプローチは面白い。北海道の豊穣さを足早に感じることができた。あまりに足早だったけれど。
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