共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

教材

2015年02月24日 18時30分21秒 | 日記
私の教室では、普通に教則本を使って音階練習や練習曲を弾く他に、特に年輩の生徒さん用に別教材を作るようにしています。というのも、年輩の方はただでさえ音譜の読みが覚束ない上に、練習曲が知らない曲だったりすると余計に大変な気がしていたので、それならば馴染み深い曲を織り交ぜて楽しんでもらおうと思ったのがきっかけです。

こういう場合、ほぼ間違いなく喜ばれるのが文部省唱歌や日本歌曲です。今までにも様々な曲をヴァイオリンで弾きやすいように起こしましたが、今回は三拍子の練習も兼ねて《早春賦》と《朧月夜》の楽譜を作りました。

もっとも《早春賦》は本来3/4拍子ではなくて6/8拍子の曲なのですが、年輩の方に複合拍子はハードルが高いのと、市販の教則本に載っているモーツァルトの歌曲《春への憧れ》の楽譜も、本来6/8拍子で書かれたものを3/4拍子に直してあったりするので『…いいか!』と思った次第です。

それにしても、こうして楽譜に書いてみると、《早春賦》と《春への憧れ》はよく似た曲だなぁ…と改めて思ってしまいました(ここに《知床旅情》まで入ってくると、もう似た者同士の三つ巴になってしまいますが…)。決して中田章がモーツァルトをパクったわけではないのでしょうが、春を待ち焦がれる想いはオーストリア人も日本人も同じだったのでしょう。

そして《朧月夜》という曲は、実に不思議な三拍子の割り方をしていることがわかります。元々この曲の作曲家である岡野貞一が『西洋の賛美歌を目指した日本歌曲を作ろうと試みた』と言っていることが、楽譜を手書きすることによって改めて実感することができて、自身も勉強になりました。

さて、今回も生徒さん達に喜んでもらえますかどうか…ちょっとドキドキです。
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