今日は小田原の放課後子ども教室を終えてからトンボ帰りして、そのまま橋本まで向かいました。
今日は橋本駅の程近くにある杜のホールはしもとで大学の先輩がプロデュースされるコンサートがあり、その先輩から直々に御招待を受けて参じました。
400名ほど収容の会場はほぼ満員。大学のヴァイオリン科を主席で卒業された先輩をはじめとして充実の出演者陣の登場とあって、期待値も上がります。
ガラコンサートの形式でしたが、プログラムの内容が
●リムスキー・コルサコフ
熊蜂の飛行(チェロ)
●マヌエル・ポンセ
小さな星(チェロ)
●ディ・カプア
オー・ソレ・ミオ(テノール)
●モーツァルト
子守唄
●ヘンデル
ああ、感謝せん(メゾソプラノ)
●トスティ
理想の女
●テスタ
愛の別れ(テノール)
●フランク
ヴァイオリンソナタイ長調より第4楽章(ヴァイオリン)
●ショパン
スケルツォ第2番変ロ短調(ピアノ)
●マスカーニ
歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より
『ママも知る通り』(メゾソプラノ)
●チレア
歌劇《アルルの女》より
フェデリーコの嘆き(テノール)
〜〜〜〜〜〜〜休憩〜〜〜〜〜〜〜
●サン=サーンス
組曲《動物の謝肉祭》より
白鳥(チェロ)
●シューベルト
流れの中で(テノール、チェロ、ピアノ)
●メンデルスゾーン
ピアノ三重奏曲第2番より第1楽章
(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)
●プッチーニ
歌劇《ラ・ボエーム》より
『冷たい手を』(テノール、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)
と盛り沢山でした。
前半は主にソロのプログラムが続きました。
オープニングの『熊蜂の飛行』はチェロで弾くだけでも大変なのですが、今回出演された江口心一さんは高速演奏をYouTubeにアップされている名手で、このコンサートでもあり得ないくらいの高速テンポでの演奏を披露されました。次の『小さな星』はどちらかと言うと『エストレリータ』と言った方がピンとくる方もいらっしゃるかも知れませんが、前曲とは一転したしっとりとしたメロディを存分に聴かせてくれました。
次に登場した山本耕平さんは輝かしいテノールでカンツォーネやトスティ、プッチーニの名作を披露され、喝采を浴びていました。また、メゾソプラノの大野みさをさんは、時に落ち着いた優しい声で子守唄を、また迫力の声でヴェリズモアリアを歌い上げられていました。
今回のコンサートのプロデューサーでもある大野伊作さんは、フランクの名曲を何と暗譜で演奏されました。ピアニストと息の合った演奏を聴きながら、この曲は本当にいい曲だなと改めて感じました。
佐藤勝重さんのピアノによるショパンの名作スケルツォは、低音の響きの上にショパン独特のきらびやかなメロディを歌い上げ、圧巻の演奏でした。
休憩を挟んで、後半からはアンサンブルのプログラムが中心となりました。
後半のオープニングは、もはや説明の要らない名曲でした。音域的に演奏出来るので私もたまにヴィオラで演奏することもありますが、やはりチェロの深い響きには敵いません。
シューベルトの『流れの中で』は本来テノール独唱にホルンがオブリガートでついているのですが、今回はチェロバージョンでの演奏となりました。シューベルト最晩年に作曲されたこの作品は、ドイツ語ならではの深い歌唱と楽器の響きが求められますが、山本さんは前半のカンツォーネとはまた違った歌唱を披露してくれました。江口さんのオブリガートチェロもホルンとはまた違った魅力で、このバージョンでもっと演奏されてもいいのではないかと思わされました。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲(トリオ)、通称メントリは圧倒的に第1番の方が有名で、第2番はそれほど演奏される機会がないのですが、それでもメンデルスゾーン円熟期の作品だけあって、端正なだけでなく時に激情が迸るような厚みのある作品です。今回は第1楽章のみの演奏でしたが、機会があれば今回の組み合わせで全曲聴いてみたいなと思わせてくれる素晴らしい演奏でした。
最後の《ラ・ボエーム》の名アリアは伴奏にピアノ三重奏がついた形での演奏で、ピアノだけの伴奏よりも、よりオペラ感が出る素敵なものでした。山本さんの素晴らしい歌唱に、会場から万雷の拍手が贈られていました。
鳴り止まぬ拍手に山本さんがアンコールに応えて登場し、御自身がリリースされたCDの中から『Mi manchi』を披露され、更に出演者全員でバーンスタインのミュージカル《ウェストサイドストーリー》より『Tonight』が演奏されました。
アンコール後には
会場から出演者全員に喝采が贈られ、盛り沢山のコンサートは幕を下ろしました。
先月自分でもガラコンサートに出演したから分かるのですが、プロデューサーたる先輩がここに至るまでにどれだけの準備をされてきたかを思うと頭が下がります。素晴らしいコンサートを堪能させて頂き、幸せな気持ちになることが出来ました。