はりさんの旅日記

気分は芭蕉か司馬遼太郎。時々、宮本常一。まあぼちぼちいこか。
     

新緑の飛鳥をぶらり

2016-04-22 14:25:00 | カメラ紀行
飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)にやって来ました。(4月19日のことです)



2月の第一日曜に行われる「おんだ祭」は、夫婦和合の神事が行われる大和の奇祭として有名です。境内には、陰陽石をはじめとする数々の奇石が祀られています。(それらは、自分の目で見に行ってくださいね)



「おんだ祭」の日には、屋台も出て、大変な人出になるそうですが、この日は私一人だけでした。葉桜が、祭りのあとのさびしさを誘います。

飛鳥坐神社から水落遺跡に続く道は、古い家並みが残る明日香らしい道です。「大和棟」の家があったり、「煙抜き」のある家もあります。気分は宮本常一です。





振り返ると、道の突き当たりに飛鳥坐神社が見えます。




さあ、最後に甘樫丘(あまかしのおか)に登ることにしましょう。ここで、犬養孝さんの『万葉の旅』の登場です。「甘樫丘より」という章で、「飛鳥京・藤原京をいちばん近くから一目に展望できるところは、甘樫丘の最高峰147メートルの地点におよぶものはない。」と書かれています。犬養さんは、「草ぼうぼうの山道をかきわけて」登られたようですが、今は、国営公園となって道もきれいに整備されています。





ヤマブキが咲き、新緑がまぶしい散策路を登っていくと、甘樫丘展望台に到着します。

「甘樫丘の上は、なん時間いてもつきないようなところだ。わたくしたちは眼を西北に転じてみよう。すると写真のような景観が眼にはいる。大きな池は灌漑用の和田の池だ。(中略)畝傍山は長く尾をひいてなんと秀麗な山容をなしていることだろう。畝傍山の左肩に、葛城連嶺のつづき二上山の雄岳と雌岳が見える。」(犬養孝『万葉の旅』より)
私も、同じ景色をカメラにおさめてみました。畝傍山や二上山は、今も変わらぬ景観ですが、民家やビルが増えているのは、いたしかたありません。



東の方には、飛鳥古都が望まれ、先ほどまでいた飛鳥坐神社が鎮座する鳥形山(写真中央)が見えます。こうして甘樫丘に佇んでいると、万葉の時代にタイムスリップしたような気分になってきます。
「采女の 袖吹き返す 明日香風 都を遠み いたづらに吹く ー志貴皇子ー」「…古都に立った志貴皇子の、幻影にうかぶ女官らの袖吹きかえすイメージも、おりからの飛鳥の風にうかばないものではないし、志貴皇子の古都への回想と思慕は、そのままわたくしたちの心ともなる。」(犬養孝『万葉の旅』より)



もう少しだけ甘樫丘を散策して帰ることにしましょう。散策路では、山つつじやイロハモミジが目を楽しませてくれました。