はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

いのちの電話

2009-06-01 23:33:28 | かごんま便り
 自殺予防が目的の悩み相談窓口「鹿児島いのちの電話」(099・250・7000)が今夏、開設20周年を迎える。

 「いのちの電話」は1953年に英国で、日本では71年に東京で始まった。鹿児島は全国32番目として89年7月に開設された。それ以来、年中無休、24時間対応の「眠らぬダイヤル」として、無償ボランティアが交代で相談に応じている。

 相談件数の推移をみると、05年1万5988件▽06年1万7583件▽07年1万8285件――と増え続け、昨年は2万1470件と2万件の大台に乗った。生活苦や健康不安、家族間の不和、仕事のトラブル、学校でのいじめ……とあらゆる悩み事が日夜、寄せられる。このうち自殺に直結しかねない特に深刻なものは、05年485件▽06年818件▽07年880件――とこちらも急増。08年は1292件と初めて4ケタに達した。最近の傾向として、従来それほどでもなかった中高年の女性からの相談が増えているという。

 相談は匿名のため、実はその後どうなったかは分からない。県警の統計を見ると過去4年間の自殺者は、05年522人▽06年547人▽07年718人▽08年647人――となっている。直接の比較は出来ないが「死にたい」と電話してくる人の数から推測すれば、一定の抑止力となっていることは間違いない。

 相談員は現在、約170人。1日6交代で2台の電話機に配置するのはぎりぎりの状況という。新たな篤志家を求めて先日、第23期の公開講座がかごしま市民福祉プラザで始まった。12月まで毎週木曜午後7時からカウンセリングなどを学ぶ。受講希望者は5月末までに住所・氏名・連絡先をファクスで099・259・5245へ。相談員にはなれなくても資金面で活動を支える賛助会員の制度もある。問い合わせは事務局099・250・1890まで。

  鹿児島支局長 平山千里 2009/5/25 毎日新聞掲載