はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ハイドン没後200年

2009-06-02 23:21:53 | アカショウビンのつぶやき
 交響曲の父、ハイドンが亡くなって200年。その記念コンサートでモーツアルトのレクイエムから亡き夫が大好きだった「涙の日」を歌った。
 
 死期をうすうす予感していた夫は「俺の告別式はモツレクで頼むよ」と淡々と弟に話した。「まだ先の話じゃないか」と弟は言ったが、その日は数日後にやってきた。しかし、葬儀を執り行った、キリスト教会にその当時はCDプレイヤーがないことがわかり、残念ながらテープに残されていたブラームスのレクイエムで見送ることになってしまった。

 彼が好きだった作曲家は、モーツアルトとブラームス。ブラームスの室内楽は、暗い雰囲気があり、私はモーツアルトの明るさに惹かれていたが、彼はLPレコードがすり切れるくらい、若い頃からブラームスの室内楽を愛していた。でも彼の最後の願いを叶えられなかったことが、私の胸の奥にいつもひっかかっていた。

 「涙の日は、素晴らしい曲だぞ」と彼はいつも言っていたが、長いモツレクを聞かされるのを私は避けていた。独りになってから彼のCDを片っ端から聴いた。彼の言葉通り、素晴らしい曲だった。

 かれらをあわれみたまえ主よ、
 やさしきイエズスよ
 かれらに休みをあたえたまえ

 切々と歌うコーラスを聴いていると涙があふれてくる。「私もいつか、この曲を歌いたい!」と、コーラスの先生にお願いしたが、10年以上待ってもその機会はこなかった。

 ところが先日、鹿児島ハイドン協会オーケストラが、没後200年記念コンサートを、鹿屋市で開催することになり、地元合唱団と一緒に「ラクリモーサ」を歌うことになった。短い曲だけれど、初めて歌う原語のミサ曲は難しかったが、「アーメン」と歌い終わった時は涙が溢れそうだった。

 口の悪い亡夫に「これじゃモーツアルトが怒るぞ…」と言われそうな気もしたけれど、胸の中の固まりは、すーっと溶けていった。ミサ曲っていいなあ。もう少し歌いたくなった。

第8回はがき随筆大賞表彰式

2009-06-02 22:27:20 | アカショウビンのつぶやき





 いつの間にか8回目を迎えたはがき随筆大賞表彰式。

 今年は例年より早く開催されたため、夫の法事と重ならず参加できたことが嬉しい。
 鹿児島県代表のMさん、仲良しのOさんそして私、女三人寄ればの例にもれず、新幹線の車中は楽しいおしゃべりが続き、あっという間に小倉着。

 表彰式が始まり、RKBの中嶋順子アナの朗読で紹介される随筆は多くの作品の中から選び抜かれた力作ばかり。僅か252文字のなかに、これだけの内容を描ききれるのかと驚くような奥の深い随筆ばかりだ。

 鹿児島代表Mさんの作品はタイトルが「腫瘍に命名」。かなり深刻な事態にもかかわらず、ユーモアあふれる姿勢はさすが。昨年の支局長賞にも選ばれており、かなりの期待がかかる。そして「郵政事業会社九州支社長賞」と発表されると、鹿児島のテープルから思わず拍手と「ヤッター」と歓声が上がった。

 そして懇親会。初めてお目にかかるブログ仲間・山口県のOさんを探していると、とっても優しい笑顔のジェントルマンに声を掛けられた。初対面なのに旧友に逢うような懐かしさがこみ上げるのは随友のゆえか。

 いつの間にか書く力が萎えて、「私、読む人」に徹していたが随友の暖かさに触れて「書いてみようかな」という気持ちにさせられた、ありがとう。

華の古希4人組

2009-06-02 16:03:19 | はがき随筆
 はがき随筆の投稿者に4人の同年がいて、今年70歳になる。
 Iさんは毎月「昭ちゃん新聞」を発行するすごい人。仏顔だが仕事や文芸の鬼かも。
 Mさんはバッティングセンターのホームラン王。「薩摩のイチロー」と称され、テレビで十数回紹介された有名人だ ロマンチストのWさんは、第3回はがき随筆大賞を取った実力者。「新婚さんいらっしゃい」が待っていますよ……。
 あと一人は投稿とマスターズ陸上、土いじりを楽しむ私。
 1939年生まれの共通点は ″華″を求める心─か。古希なれど夢欲有りの4人組
  出水市 清田文雄(70) 2009/06/02 毎日新聞鹿児島版掲載 


ありがとうネ

2009-06-02 15:59:23 | はがき随筆
 左腕を骨折し、チタンを装着する手術を受けて8日間入院した。平成5年には、脳外科手術で4ヵ月も入院。ケガや病気に苦しむ日々が人生に含まれていたとは想定外だった。
 左手の猛烈な痛みは利き手の自由をも奪い、頼みの右手も思うように動かせず、入院の準備からして夫の手が要った。「あなたのお世話になどなりません」と大口たたきながら、ひとたび事が起きると「助けてくれ-っ」と大騒動する。故障の多
い″勝手ばば″と同居してくれる夫が、さすがに気の毒になった。「私と結婚して損ばかりだったネ」「ばかりではないヨ」
  鹿児島市 馬渡浩子(6D) 2009/5/31 毎日新聞鹿児島版掲載


バラと人と

2009-06-02 15:56:11 | はがき随筆
 ビロードの花の群落。
 「夢のよう」「かわいい」 「いい香り」。三つの言葉しか出てこない。
 母はバラが好きで、香水は「白バラ」を使っていた。
 「バラを見たい」と言ったら、娘は2時間かけて帰って来てくれた。
 バラヘの思いがまた深くなり、バラたちがいっそう輝きを増す。人と人もこんな風に感応し合えたらいいな。
 5月の空の昼下りの、とけるような半月をバックに、アーチにからんだ黄色いバラのくさりを、娘はカメラにおさめようとしている。
  鹿屋市 伊知地咲子(72) 2009/5/30 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はzzrさん