はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

インフルエンザ

2009-06-18 17:23:09 | はがき随筆
 当初、豚と言ったが新型となって、日本にも入ってきたインフルエンザとその騒動。
 出来れば来てほしくないが、人の動きがグローバル化された現在、水際作戦は極めて困難。あっさり上陸していたのだから推して知るべしだろう。
 しかし驚いたのはインフル工ンザもだが、高校生渡航者の多さで「何でも見てやろう」をただただ感動して読んだ世代には、百年に一度の不況と相まってこっちの方が理解し難い。
 幸いぼくの年齢では証明できない免疫があるようで、インフルエンザも避けて通るが、若い妻への不安は消し難いようだ。
  志布志市 若宮 庸成(69) 2009/6/18毎日新聞鹿児島版掲載



ブーゲンビリア

2009-06-18 17:20:10 | はがき随筆
 いま種子島は赤紫も鮮やかにブーゲンビリアの最盛期だ。
 亡き母と同い年のいとこが97歳になり、いまは身内の経営している養護施設で生活しているのだが、先日そのおばさんの顔を見に行ってきた。記憶もしっかりしていて、その元気ぶりに驚かされて帰ってきた。
 帰り道の途中におばさんの家がある。のぞいてみたら玄関先のブーゲンビリアが、しだれ柳のように枝を垂らし、花をいっぱいつけて咲き誇っていた。 
 「おばさんに見せたいわね」とカミさん。ブーゲンビリアの留守番ぶりを写真に撮り、はがきにして送った。      
  西之表市 武田 静瞭(72) 2009/6/17 毎日新聞鹿児島版掲載
  写真は武田さん提供

三角関係

2009-06-18 17:16:34 | はがき随筆
 我が家の子供たちは親への執着心などなく、さっさと家を出てしまい、義母と夫との3人暮らし。トライアングルのように三角の関係。ただし音色は不協和音である。
 義母は美ぼうの未亡人だった。近隣の殿方を悩ませたに違いないが世が世であり、しゅうとめと家を守り、身を粉にして働いた。そして一粒種が我が夫。長年の労苦で男勝りの義母にわがまま息子。頓着なしの私が加わり泣き笑いの蛇行運転の連続だった。運行不能もしばしば。
 最近は寄る年波に身も闘争心もなえ、一喜一憂しながら三角形も次第に丸くなりつつある。
  出水市 伊尻 清子 (59) 2009/6/16 毎日新聞鹿児島版掲載