はがき随筆5月度の入選作品が決まりました。
▽出水市緑町、道田道範さん(59)の「今晩泊めて」(11日)
▽指宿市西方、新留栄太郎さん(67)の「可愛い姪へ」(21日)
▽鹿児島市鴨池1,川端清一郎さん(62)「地デジ放送随想」(19日)
の3点です。
そろそろ5月分の選評の準備をと考えていた時に、うれしいニュースが飛び込んできました。馬渡浩子さん、郵便事業株式会社九州支社長賞受賞おめでとうございます。ご本人はもちろんのこと、鹿児島地区の皆さんにもいい励みになることだと思います。5月の薫風とともに、さわやかな涼風が吹きこんできた感じがします。
道田さん「今晩泊めて」は、親子げんかから、ご母堂の家出騒ぎ。やがて、玄関先で一夜の宿を頼む声。テレビ番組の「田舎に泊まろう」かと思い、迎え入れると、そこに母親。すっかり番組を演じて、親孝行をしたという内容です。還暦近い人でも親子げんかするのかと驚きましたが、「血は水より濃い」関係の難しさに思い至りました。テレビ番組も役に立つものですね。文章の軽妙な構成が秀逸です。
新留さん「可愛い姪へ」は、現代版「吾輩は猫である」です。擬人化した「愛猫ムック」の視線から、新しい生命の誕生を祝福し、暖かく見守った文章です。文章の視点を動物などに擬人化しての描写は、意外と難しいものですが、ここでは成功し、めいごさんの可愛らしさがほうふつとします。
川端さん「地デジ放送随想」は「随想」とありますが、地デジヘの″ぼやき″です。私もこのぼやきには大賛成なので、一緒にぼやきたくなりました。文章の機能の一つに批評性があります。この批評性はアイロニーなどの方法で表面的には隠される場合もありますが、川端さんの場合はストレートで、それが痛快な印象を与えました。
以上が入選作です。その他の佳作を紹介します。
清水昌子さん「万年筆を買う」(23日)は、批判していたが、定額給付金が出たら、さっさと万年筆を買って「はがき随筆」を使い始めにしたというものです。人情というものがよく表れています。掘美代子さん「もったいない」(15日)は、祖母の記憶とともに、衣類の再利用に心がけているという内容です。資本主義は消費(浪費)で成立っていますが、それではもたない時代がきたようです。竹之内美知子さん「マグロちゃん」(24日)は、小2のお孫さんの回転ずしの食べっぷりの見事さを、驚きとほほ笑ましさとでスケッチしたものです。年神貞子さん「カエルの宿」(11日)は、友人たちとの壱岐旅行の夜、カエルの大合唱が眠りを妨げたが、そのうちの一匹は寝つきが悪いとみえて、いつまでも鳴いていたという心温まる文章です。
(日本近代文学会評議員、鹿児尨大名誉教授・石田忠彦)
係から 入選作品のうち1編は27日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。
「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
◇投稿規定
だれでも投稿できるミニ随筆です。日常生活の印象的な出来事を日記がわりに、気楽に書いて下さい。作品は・文章部分が250字前後(14字×18行)。他に7宇以内の題。住所(番地まで)、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒892-0847鹿児島市西千石町1の32 鹿児島西千石町ビル 毎日新聞鹿児島支局「はがき随筆」係へ。はがき、封書など書式は問いません。新人の投稿を歓迎します。
▽出水市緑町、道田道範さん(59)の「今晩泊めて」(11日)
▽指宿市西方、新留栄太郎さん(67)の「可愛い姪へ」(21日)
▽鹿児島市鴨池1,川端清一郎さん(62)「地デジ放送随想」(19日)
の3点です。
そろそろ5月分の選評の準備をと考えていた時に、うれしいニュースが飛び込んできました。馬渡浩子さん、郵便事業株式会社九州支社長賞受賞おめでとうございます。ご本人はもちろんのこと、鹿児島地区の皆さんにもいい励みになることだと思います。5月の薫風とともに、さわやかな涼風が吹きこんできた感じがします。
道田さん「今晩泊めて」は、親子げんかから、ご母堂の家出騒ぎ。やがて、玄関先で一夜の宿を頼む声。テレビ番組の「田舎に泊まろう」かと思い、迎え入れると、そこに母親。すっかり番組を演じて、親孝行をしたという内容です。還暦近い人でも親子げんかするのかと驚きましたが、「血は水より濃い」関係の難しさに思い至りました。テレビ番組も役に立つものですね。文章の軽妙な構成が秀逸です。
新留さん「可愛い姪へ」は、現代版「吾輩は猫である」です。擬人化した「愛猫ムック」の視線から、新しい生命の誕生を祝福し、暖かく見守った文章です。文章の視点を動物などに擬人化しての描写は、意外と難しいものですが、ここでは成功し、めいごさんの可愛らしさがほうふつとします。
川端さん「地デジ放送随想」は「随想」とありますが、地デジヘの″ぼやき″です。私もこのぼやきには大賛成なので、一緒にぼやきたくなりました。文章の機能の一つに批評性があります。この批評性はアイロニーなどの方法で表面的には隠される場合もありますが、川端さんの場合はストレートで、それが痛快な印象を与えました。
以上が入選作です。その他の佳作を紹介します。
清水昌子さん「万年筆を買う」(23日)は、批判していたが、定額給付金が出たら、さっさと万年筆を買って「はがき随筆」を使い始めにしたというものです。人情というものがよく表れています。掘美代子さん「もったいない」(15日)は、祖母の記憶とともに、衣類の再利用に心がけているという内容です。資本主義は消費(浪費)で成立っていますが、それではもたない時代がきたようです。竹之内美知子さん「マグロちゃん」(24日)は、小2のお孫さんの回転ずしの食べっぷりの見事さを、驚きとほほ笑ましさとでスケッチしたものです。年神貞子さん「カエルの宿」(11日)は、友人たちとの壱岐旅行の夜、カエルの大合唱が眠りを妨げたが、そのうちの一匹は寝つきが悪いとみえて、いつまでも鳴いていたという心温まる文章です。
(日本近代文学会評議員、鹿児尨大名誉教授・石田忠彦)
係から 入選作品のうち1編は27日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。
「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
◇投稿規定
だれでも投稿できるミニ随筆です。日常生活の印象的な出来事を日記がわりに、気楽に書いて下さい。作品は・文章部分が250字前後(14字×18行)。他に7宇以内の題。住所(番地まで)、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒892-0847鹿児島市西千石町1の32 鹿児島西千石町ビル 毎日新聞鹿児島支局「はがき随筆」係へ。はがき、封書など書式は問いません。新人の投稿を歓迎します。