はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

かえっておいで

2010-08-10 15:49:22 | はがき随筆
 ダイキチが野良猫だったころ大けがをした後ろ足が、コッペパンみたいになっていたね。あれからもう一年が過ぎました。押しの強そうな大きな顔をしているけれど、とても臆病なおまえは、うちの家族になってからも、いつも隅っこで、控えめな性格。たまに不器用に甘えるしぐさが、とても愛らしいのです。
 暑い日、何かに驚いたおまえは、止めるのも聞かず、そのまま飛び出して行ってしまった。毎日探しているけれど、お前はかくれんぼの天才だから、お母さんは途方にくれています。ダイキチ、帰っておいで。ここがお前の家だよ。
  薩摩川内市 橋口恵美子(62) 2010/8/10 毎日新聞鹿児島版掲載

「手術痕ある人も入浴着で安心」

2010-08-10 15:38:53 | 岩国エッセイサロンより
2010年8月 8日 (日)
岩国市 会 員   貝 良枝

女性なら誰でも乳がんへの恐怖感が多かれ少なかれあるだろう。知人にも乳がんになった人が数人いる。早期に発見できたので手術痕が小さくて済んだ人もいれば、そうでなかった人もいる。彼女たちの話を聞くたびに定期検診の大切さを感じ、積極的に検診を受け、自己チェックもしている。それでも心配だ。
 先日、ある温泉施設の脱衣所で「入浴着」を説明するポスターを見つけた。それは胸をふわっと覆うもので、背中が大きく開いたワンショルダー型だ。ひもで体に巻きつけて留める構造になっている。湯水がしみこみにくい素材を使っているので、着たままで体を洗うことができ、衛生面でも安心と書いてあった。
 手術痕のある人は、その大小にかかわらず温泉や公衆浴場は避けてきたのではないだろうか。多くの人が入浴着のことを知り、入浴着を身につけている人を見かけたら温かく見守るようにすれば、誰もが温泉やいるいろなお風呂を楽しめると思う。
  (2010.08.08 毎日新聞「みんなの広場」掲載) 岩国エッセイサロンより転載

「初体験」

2010-08-10 15:36:12 | 岩国エッセイサロンより
2010年8月 7日 (土)

岩国市  会 員   林 治子

動物病院で外耳炎ですかと聞く。診断の結果、そうではないと言われ、ホッとした。体重を量ることになった。柴犬のくせに用心深い。体重計に乗るかどうか心配。怖いのか、いくら引っ張っても動こうとしない。とうとう大声で「早う乗らんね」と一喝した。ビクッとして怖々と足を乗せた。やれやれ。

えっ、よく見ると右後ろ脚一本で踏ん張っているではないか。体重計が動くのを心配でストッパーをかけているつもりらしい。しっぽを握って引っ張り上げ、やっと乗せた。みんなの笑い声と拍手。得意そうな顔に変わっていた。
 (2010.08.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 岩国エッセイサロンより転載