はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

今こそ「農」

2011-08-10 11:45:31 | ペン&ぺん
放射性セシウムを含む稻わらを食べた牛。それが問題化したのは7月上旬のこと。東京の市場に入荷した牛肉から規制値を超すセシウムが検出された。
 原発事故の被害。東日本の農家や消費者は、さぞや不安だろう。そう考えていたところ、鹿児島県内でも同様の牛肉が流通していた。県内流通分を検査した結果、いずれも暫定規制値以下か「大量に食べても害のないレベル」とされたが、対岸の火事のように思ってた自分の不明を恥じた。
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 思えば、昨年は春から夏にかけて隣県、宮崎で口蹄疫(こうていえき)が発生。被害拡大を防ぐため、畜産農家が対応に追われていた。
 昨年、毎日新聞が募集した農業記録賞・高校生の部では、まさに宮崎からの応募作が優秀賞を獲得した。田崎勇樹さん(当時、県立高鍋農業高3年)が書いた「和牛生産への道」。高校の牧場で疑似患畜が見つかり、飼育していた牛や豚をすべて殺処分。移動制限で3カ月間、故郷の高千穂に帰省できなかったことなどをつづった。
 「防疫に対する心構えや対策強化に高い意識をもって取り組まなければならないと強く実感しました」。そう書かれた入賞作を改めて読み、困難な出来事からも何かを学んでいこうとする姿勢に感じ入った。
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 その毎日農業記録賞。今年も作品を募集しています。一般の部、高校生の部ともに農家や農業高校の生徒だけでなく、広く「農」や「食」、「環境」に興味関心のある人が対象。体験や提言などをA4判4000字程度でまとめ、毎日新聞鹿児島支局へお送りください。締切は9月6日(消印有効)。
 原発事故の影響が広がる。こんな時だからこそ農業の大切さを書き記すことが求められているはず。
 どうぞ、ふるって、ご応募を。
 鹿児島支局長 馬原浩 2011/8/1 毎日新聞掲載