2013年1月 8日 (火)
岩国市 会 員 沖 義照
夕方の散歩中、家の前でボールを蹴って遊んでいる兄弟と出会った。小学1年生と3年生の男の子だ。お兄ちゃんは黒い縞の入った、赤いサッカーユニホームを着ている。
半月後、この家の前に来たとき、弟が1人でコンクリートの壁に向かってボールを蹴っていた。
「お兄ちゃんはいないの? おじさんとやってみようか」
「うん、いくよっ!」。
離れて向き合い、左右に小走りしながら10回くらい蹴りあうと、すぐに息が上がった。
「よし、またやろう」
「うん、ありがとう」
それから数日後、弟がまた1人でボールを蹴っているのが、はるか手前から見えた。10㍍くらいまで近づいた時、突然ボールを私に向けて蹴ってきた。強い勢いでボールを蹴り返した。無言のまま、また蹴ってきた。今回も10回くらい蹴りあった。
「僕は上手だな」というと、得意げな顔をする。「またやろう」と言って立ち去ろうとすると「リフティングもできるよ」と言いながらボールを上に蹴りあげる。が、うまく出来ない。何度もやって、やっと2回続けることが出来た。「わかった、うまいよ」と言って散歩を続ける背中に「5回は出来るよ」の声。
1年生の子供に、サッカーの練習相手としてどうやら認められたようだ。年の離れたお友達と気分転換の出来る楽しい散歩道となった。
(2013.01.08 毎日新聞「男の気持ち」掲載)
岩国エッセイサロンより転載