はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「備えあれば」

2013-09-07 14:34:21 | 岩国エッセイサロンより
2013年9月 7日 (土)

岩国市  会 員   吉岡 賢一

 テレビを見ていた4歳の孫が「じいちゃん、ジシン地震」と大声で叫ぶ。画面をよく見ると「大雨洪水警報」のテロップが流されていた。どこで誰に教わったのか、テレビに流されるテロップは、どれもこれもみな地震速報だ、と思い込んでいる様子。
 「地震がきたらどうするの」「そりゃ、もぐるんよ」。言いながら、食卓の下に身をかがめる。こんな幼い子の心にも、とっさの地震対策は植え付けられている。次は、大雨や台風への備え、津波時の避難方法など、分かりやすく話して聞かせよう。「自分の命は自分が守るのだ」と。
   (2013.09.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 岩国エッセイサロンより転載

「忘れない声」

2013-09-07 14:31:06 | 岩国エッセイサロンより
2013年9月 6日 (金)

岩国市  会 員   安西 詩代

「よう、おいでました」という母の声が聞こえた。お盆の墓参り、掃除をして、手を合わせながら思い出した。
 幼い頃、転んで泣きながら帰り、洗濯せっけんの香りのする白いかっぽう着に抱きつくと、母は「ほんこ、ほんこ」と頭をなぜてくれた。その言葉のひびきで、痛さを忘れてしまった。少し大きくなると「あなたが一番可愛い」という言葉が、うっとうしく重く感じられた時期もあった。
 いつまでも、母の声で思い出す言葉がいくつかある。私も、そういう声を子供たちに残しているのだろうか。
 (2013.09.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 岩国エッセイサロンより転載