はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

うれしかった

2013-09-30 20:04:11 | アカショウビンのつぶやき
2013年09月30日 毎日新聞「はがき随筆」掲載

 かげろうがのぼる道、そのわきに麦わら帽子をかぶった男の子2人、手を挙げて立ち止まっている。私は車を止める。 

 手をつないで渡り終えた。すると、向き直って一緒にぺこっと頭を下げ、虫取り網を振りながら路地の奥へ駆けていった。上の子は年長さんくらい。

 懐かしい麦わら帽子と虫取り網、子どものころ競い合ったセミ捕りの日を思い出す。 

 思いもしないぺこっの礼、なぜか無性にうれしかった。急いで窓を開け「こけるなよ」と声を掛け手を振る。頭を下げた子どものしぐさ、家でいいしつけをされていると思いながら見送った。

岩国市 会員 片山 清勝 岩国エッセイサロンより転載

じぇじぇじぇ

2013-09-30 07:19:41 | ペン&ぺん


 軽快なテーマ曲が印象的なNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の放送が終わった。劇中で使われた岩手県の方言「じぇじぇじぇ!(大きな驚き、感動)」が新鮮。今年の流行語候補だそうだ。
 本紙でも伝えたが、民間の岩手経済研究所は、県内の経済効果を32億8400万円と試算した。ドラマに登場した小袖海岸には現役海女によるウニ漁実演に前年比で23倍の7万5000人が訪れた。番組の成功は脚本のうまさ、俳優陣の演技力はもちろんだが、ロケ地が久慈市で物語に東日本大震災復興への願いも込められ、地元住民、県民の協力があったからだ。
 鹿児島だって過去にはNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」「篤姫」で観光客を呼び込んだ。映画007が好きで「007は2度死ぬ」の撮影地の一つ、坊津を訪ねたことがある。「ここにジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーが来たのか」と思うと心が弾んだ。坊津は鑑真の日本上陸(753年)の地とされていたことも思い出した。1260年前、あの時代にはるか中国から大海を渡って来たなんて。昔の人は偉かった、改めて感心させられる歴史もある。
 イプシロンロケット打ち上げで肝付町に2万人が訪れた。打ち上げ時だけのにぎわいにせず、継続的に人が訪れる知恵を絞りたい。久慈市観光物産協会も「これからが正念場だ」という。我々にも桜島などの自然や東北に負けない鹿児島弁、特産物がある。もっと欲張って映画やドラマのロケ地、ビッグイベントの会場として売り込みたい。
 10月1日付けで、垂水友里香記者が東京本社デジタルメディア局へ異動します。取材などさまざまな点でお世話になりました。本人も後ろ髪を引かれるような思いだったようです。後任は西部本社(北九州市)編集制作センターから、奥田伸一記者が赴任します。よろしくお願いします。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2013/9/30 毎日新聞鹿児島版掲載

同窓会

2013-09-30 07:12:52 | はがき随筆
 中学校の同窓会に出かけた。新幹線から乗り換えたローカル線は、カタカタとレールの継ぎ目の音が思いを故郷にはせる。
 小学生からの友、B29の爆音に防空壕に逃げ込んだこと。戦後の食糧難に学級園で野菜作りをした級友は兄弟のように懐かしい。喜寿を過ぎた顔にあの頃の面影をみつけ、やーやーと手を取り語り始めた。167人の友のうち既に40人旅立ったとの幹事の報告はショックだった。
 学舎から朝夕眺めた耳納の青山はあちこち肌を見せ、とうとうと流れていた川は上流のダムで河原となっていた。タイムスリップしたひとときだった。
  出水市 年神貞子 2013/9/30 毎日新聞鹿児島版掲載

ラジオ体操

2013-09-30 06:56:31 | はがき随筆


 今夏、集落唯一の小学生である次男は、隣集落のラジオ体操に参加した。早朝の凛とした空気の中、寝ぼけた体を起こす。
 子供たちの体操を見ると、低学年動きがぎこちない。特に第2はうろ覚えで、私の動きを真似ながら、懸命に手足を動かす。それがまた可愛らしい。
 体操も後半になると、踏みしだかれた夏草の匂いが鼻腔をくすぐる。瞬時に、小学生時代にタイムトラベル。印鑑が楽しみで、毎日ラジオ体操に通った。今は、夏休み前半と後半の各1週間のみの実施で、学校へのカード提出もない。変わったなーと思った瞬間、現実に帰る。
 垂水市 川畑千歳 2013/9/29 毎日新聞鹿児島版掲載