はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お礼とお詫び

2013-09-14 16:21:49 | はがき随筆
 夫は、朝も昼も食前にビールを飲み、夜は入念な晩酌をする。
 幼い頃、日がな酒浸りで時々暴れるおじさんが近所にいた。なぜかこのおじさんとだぶってイヤーな気分になる日がある。
 Hさんに電話した折に愚痴ったら「アハハ……。好きなだけ飲ませてあげんネ。飲める時が良か時ヨ」と。本欄に載った闘病記でご主人の病が重いと知っていたのに、無神経な話をして悪かった。自分のことばかりに必死になって人様の痛みなど考える心のゆとりを失っていた。明るく接していだき本当にうれしかった。ありがたかった。ご忠告どおりにしてみます。
  鹿児島市 馬渡浩子 2013/9/14 毎日新聞鹿児島版掲載

苦悶の日々

2013-09-14 16:15:53 | はがき随筆
 私の頭は混乱する。私が作った料理に、91歳の母は食べもしないで悪態をつく。そして一口食べて「うまい」を連発して喜ぶ。その言動が理解できず、私は腹を立て悩む。
 母に尽くす、裏切られる。思い直して、また裏切られる。何事も母一番に考え、尽くす気持ちが萎える。それでも、子は親に尽くさねばならないのか。苦悶の日々が続く。
 親に子が、尽くすのは当然のことだ。でも手に余る。母の言動に私は疲れた。できることなら、母を置いて、私はどこか遠くへ行きたい。がんたれ息子である。
  出水市 道田道範 2013/9/13 毎日新聞鹿児島版掲載

台風一過

2013-09-14 16:09:37 | はがき随筆
 台風が来るという。風は30㍍くらいだという。
 そんなの怖くないと思ったが、手塩にかけて一心に水をかけた愛すべき菊が10プランターある。
 足の不具合で全部玄関に入れる力がないから「ごめんね、頑張って」と、つぶやき戸締りをした。
 翌朝、午前4時過ぎ、風も雨も全くないので、外へ出るとコスモスが7本ひっくり返っただけ。レモンも菊のプランターほか、庭は大丈夫で安堵する。
 ラジオ体操の頃、西空には太い虹さえいで、今日の平穏を約束してくれる。
  鹿児島市 東郷久子 2013/9/12 毎日新聞鹿児島版掲載