「鳥が来た?」と必ず来客が聞く。妻の依頼でモクセイの木に巣箱を掛けて5年になる。「ないも来ん。しじゅうカラじゃあ」と言うとも皆大声で笑う。
最近、巣箱の入り口の径を22㍉にすべきだと知り、改築しエゴの木にかけ直した。エゴの実を器用に割って食べるシジュウカラをよく見かけたからだ。
「お父さん、来てるよ、来てる!」とささやく妻。「敷金も家賃も要らんど! 入居者には手当をくるっど!」と私。鳥たちの恋の季節が来たようだ。もう何組も下見に来る。
「早いもん勝ちやっど! きっと来なさいねシジュウカラ」
出水市 中島征士 2015/4/7 毎日新聞鹿児島版掲載