
桜の開花情報に春を感じるぼくにとって、逸る心を抑えるのは難しい。向かった先は西都原古墳群。そこには古代人の墳丘が点在する台地に、満開の桜と菜の花が咲き乱れていた。
押し寄せる人の波に驚くが、ここには納得させる景観がある。桜の巨木は思い切り枝を張り、盛り上がるように花を置く。一方菜の花は、広大な台地一面を黄色く染め、圧倒的な量で桜とのバランスを保っている。 墳丘に昇って視野を広げヒバリのさえずりを聞いていると春を独占したような気分になる。妻はまた来ようねを繰り返すしかないようだ。
志布志市 若宮庸成 2015/4/12 毎日新聞鹿児島版掲載