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2015年4月30日 (木)
岩国市 会 員 横山 恵子
先日、88歳の母のためにフルートを吹いたら、「何の曲かわかるよ。『柿の木坂の家』じゃろう。音が伸びるようになったね」と喜んでくれた。
習い始めて5年。初孫誕生がうれしくて「よし!フルートでハッピーバースデーを吹いてやろう」と思い立ったのだ。
ところが、最初はなかなか音が出ない。出るようになっても「この音で合ってますか?」と先生に何度聞いたことだろう。1年過ぎた頃、先生に「はじめはどうなるかと思ったけど、やろうという気持ちさえあれば年齢は関係ないと横山さんから教わりました」と言われ、面はゆかった。
孫の1歳の誕生日、フルートを吹いたものの、孫はフルートよりケーキに夢中だった。竹馬の友の誕生日に吹くと「こんな誕生日、生まれて初めてよ」と喜んでくれた。
学生時代、音楽は苦手だった。音痴だし、笛やハーモニカを満足に吹けた記憶はない。この年齢になって苦手科目をちょっぴり克服した気がする。何よりもフルートが、人生に彩りを添えてくれた。今は音色に恋している気分だ。忍耐強く教えて下さる先生に、感謝感謝である。
(2015.04.29 朝日新聞「ひととき」掲載)岩国エッセイサロンより転載