はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ラグビー好き

2015-12-04 16:48:19 | 岩国エッセイサロンより
2015年12月 4日 (金)

岩国市  会 員   上田 孝

 日本がワールドカップ1次リーグで3勝を挙げる活躍をしてラグビーがひとしきり話題になった。五郎丸選手のキック前のポーズを子供たちもまねているという。

 昔からラグビー観戦が好きだ。自分より前にパスをできないなど禁欲的なところがいい。禁欲的といえばその最たるものが、トライで得点をあげた時。サッカーのように派手に喜びを表さず、淡々とむしろうつむき加減で自陣に引き揚げる姿が何ともかっこいい。いや、かっこよかった……。

 最近は、派手なパフォーマンスが目立つようになってきて、ちょっぴり残念だ。

      (2015.12.04 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

木守り柿

2015-12-04 16:37:14 | 岩国エッセイサロンより


2015年12月 2日 (水)

岩国市  会 員   稲本 康代

 たわわに実った柿を収穫したとき、全部取らずに一個だけ残しておく習わしがある。それを木守り柿という。来年もよく実りますようにとの願いが込められているのだとも、鳥たちへのお裾分けだとも言われている。 
 我が家の裏にも、いつ植えられたか誰も知らない富有柿が、一本ある。今年は数えきれないぐらい、たくさんの実をつけた。

 が、今は木守りの一個だけである。
 夕暮れ時、丸坊主になった柿の木のてっぺんに、小さくぽつんと赤い実が残っているのを、見上げていると、やがて訪れる厳しい冬を思う。
(2015.12.02 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載