はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

妻の鶏料理 毎年好評

2015-12-28 10:54:07 | 岩国エッセイサロンより


2015年12月28日 (月)

   岩国市   会 員   山本 一

 今年も妻が2羽の鶏を丸焼きにした。―羽は京都府に住む長女へ宅配便で送った。もう1羽は近くに住む次女の一家がわが家に来て一緒に食べる。わが家のクリスマスの恒例行事だ。
 私がこのローストチキンを初めて食べたのは婚約中の頃で、妻の家だった。腹に詰めたパンと砂肝が、とてもうまかった。
 以来、妻は毎年この時期にローストチキンを作る。材料は、なじみの肉店があらかじめ準備してくれる。
 嫁いでいる娘たちも妻に期待するが、いずれも夫が食べたかっていることを口実にし、なぜか直接「作ってくれ」とは言わない。
 妻の弱いところをくすぐってやらせている。妻もぶつぶつ言いながら、毎年、楽しそうに焼いている。妻と娘たちの、あうんの呼吸が面白い。
 妻の母はハワイ暮らしが長く、この料理は、母から受け継いだものだ。そして今、妻のローストチキンは娘たちにとって母の味なのだ。ふと、父親は娘たちに何を残せるのだろうと自問した。

     (2015.12.28  中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロン より転載

世間遺産

2015-12-28 10:27:29 | はがき随筆


 鹿児島には自然遺産の屋久島、そして明治産業革命の構成施設としての集成館などもあり、世界に誇れるものが多い。
 都市である鹿児島市の4㌔先には世界に名だたる活火山の桜島、全国有数の名湯として知られる霧島温泉郷と桜島連山の景色。最近ではマリンポートに着岸する外国客船も多いと聞く。
 吉野千本桜に対抗して垂水千本イチョウは近年の隠れた名所になっている。港から歩いて1時間半で現地到着。入口に「世間遺産」の看板があるではないか? 景色より看板を設置した人に拍手を送りたい気持ちになった。
  鹿児島市 下内幸一 2015/12/28 毎日新聞鹿児島版掲載