タガ君のことを友人たちは覚えていないという。私はフルネームで覚えている。小学5年の頃、早朝から校庭に大きな田の字を書き、それぞれのマスに陣取って、ドッジボールの球で相手をやっつける庭球という遊びに夢中だった。タガ君は強かった。多賀と書いたか。
気がついたときにはもう彼はいなかった。どこから転校してきてどこへ転出したのか。ほんのしばらくの間だったような。
人生の中で、ある一時期だけ出会って親しくなり、分かれて再び会うことのない人たち、どんな人生を歩いたのかと、それらの人たちを思うときがある。
霧島市 秋峯いくよ 2015/12/7 毎日新聞鹿児島版掲載
気がついたときにはもう彼はいなかった。どこから転校してきてどこへ転出したのか。ほんのしばらくの間だったような。
人生の中で、ある一時期だけ出会って親しくなり、分かれて再び会うことのない人たち、どんな人生を歩いたのかと、それらの人たちを思うときがある。
霧島市 秋峯いくよ 2015/12/7 毎日新聞鹿児島版掲載