2018年12月19日 (水)
転んで
岩国市 会 員 林 治子
「あっ」と声に出た。しまった、と思った時には遅かった。路上、ものの見事に滑って尻もちをついていた。立ち上がれない。右足首をくじいたらしい。如月の冷たい風の中、舗道は凍り付いていた。
携帯電話を持ってこなかったので、連絡しようがない。駐車場と舗道の境に張ってあるロープを握り締めてどうにか立ち上がった。大丈夫かと何度も自問しつつ、滑らないようにそろりそろり歩いた。
何とか家に着くと、ほっとした気持ちを壊したくなくて 「歩けたから骨は折れていない。ひびも入っていない」と自己暗示をかけた。
しかし翌朝、足首が腫れ上がった。サンダルも履けない。ただ、不思議なことに痛みが少しもなかった。翌々日には腫れが引いていた。
数力月がたって、別の要件で整形外科に行った時、エックス線を撮った。「折れている。直後だったら3カ月の入院だった」。入院しない代わりに装具を着けてもらい「ねじる歩き方はしないように」との注意を受けて帰った。折れているのに歩けるとの思いが、頭を駆け巡った。「歩くな」という注意はなかったので、装具を着けて以前と変わらず毎日歩いた。
3カ月が過ぎ「見事に骨がくっついている」との診断を受けた。手術をしたわけでもないのだから、私の毎日の努力のたまものかなあ。
(2018.12.19 中国新聞「こだま」掲載)
転んで
岩国市 会 員 林 治子
「あっ」と声に出た。しまった、と思った時には遅かった。路上、ものの見事に滑って尻もちをついていた。立ち上がれない。右足首をくじいたらしい。如月の冷たい風の中、舗道は凍り付いていた。
携帯電話を持ってこなかったので、連絡しようがない。駐車場と舗道の境に張ってあるロープを握り締めてどうにか立ち上がった。大丈夫かと何度も自問しつつ、滑らないようにそろりそろり歩いた。
何とか家に着くと、ほっとした気持ちを壊したくなくて 「歩けたから骨は折れていない。ひびも入っていない」と自己暗示をかけた。
しかし翌朝、足首が腫れ上がった。サンダルも履けない。ただ、不思議なことに痛みが少しもなかった。翌々日には腫れが引いていた。
数力月がたって、別の要件で整形外科に行った時、エックス線を撮った。「折れている。直後だったら3カ月の入院だった」。入院しない代わりに装具を着けてもらい「ねじる歩き方はしないように」との注意を受けて帰った。折れているのに歩けるとの思いが、頭を駆け巡った。「歩くな」という注意はなかったので、装具を着けて以前と変わらず毎日歩いた。
3カ月が過ぎ「見事に骨がくっついている」との診断を受けた。手術をしたわけでもないのだから、私の毎日の努力のたまものかなあ。
(2018.12.19 中国新聞「こだま」掲載)