はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

国の為に死ねるか

2019-08-12 10:17:21 | はがき随筆

 昭和20(1945)年、太平洋戦争末期になると一億玉砕こそが勝利の道と言われるようになった。私も一応、軍国少女のつもりだったが死ぬことがどうしてお国の為になるのか、その為にどうしたら良いのかがさっぱり分からなかった。うろうろと覚悟はつかず、ただ私の人生は15年で終わると思っていた。

 8月15日に思いもかけぬ形で戦争が終わった。あれから74年がたつ。もしあのまま戦争が続いていたら果たして生きていただろうかと今も思う。玉砕という言葉は美しいが、おそらく無駄死にしていただろう。戦争だけは絶対あってはならない。

 熊本市中央区 増永陽(89) 2019/8/12 毎日新聞鹿児島版掲載


使いこなす?

2019-08-12 09:57:03 | はがき随筆

 

 四季折々に何らかの花が咲くように亡夫が植えてくれている庭。今だとキキョウ、ユウスゲ、アジサイの花をスマホで写してラインで送る。おばあちゃん上手に使いこなして! と姪がメールで褒めてくれるし、友人は家中で孫たちも楽しみにしていると電話をくれる。

 グーグルではなんでも調べられて、先日は良寛と貞心尼の美しい相聞歌「蓮の露」を引くと全部の歌が現代語訳付きであり感動した。好きな歌手の歌も聞ける。最初はぜいたくだと言っていた私だったが、娘たちが強引に格安料金のスマホを手配してくれた。

 鹿児島県霧島市 秋峯いくよ(79) 2019/8/44 毎日新聞鹿児島版掲載


糠と粕

2019-08-12 09:38:53 | はがき随筆

 雨の朝は目覚めが遅い。今日は出かける予定もないし、ゆっくり過ごそうと、遅い朝食をとる。温野菜のサラダをたっぷり。豆腐の味噌汁、たくあん、白米を混ぜた玄米ご飯。圧力釜で炊いた玄米はもっちりしておいしい。よくかんで、糠をかぶった粒のプチプチ感を味わう。

 米偏に健康の康をつけて糠。一方、白米を合わせた感じが粕。蛋白質や繊維を多く含んだ糠を取り去った白米は粕ということか。「ご飯は白米でなきゃ」と言っていた夫の仏前に「お好きではないでしょうが、召し上がれ」と玄米ご飯を供える。今日は終日雨。

 熊本市中央区 渡邊布威(81) 2019/8/12 毎日新聞鹿児島版掲載