新型コロナウイルス感染症対策で突然、学校が休校になり、各地で混乱や問題が起きている。その一つに卒業式がある。
多くの学校で準備していた行事が中止や簡略になった。切ない思いから涙する生徒や児童らの姿をテレビ映像で見て胸が詰まった。
一方でこれだけ短期間の間に教え子を送り出した学校関係者の労も感じた。
ふと、9年前の東日本大震災の後の卒業式のニュースを思い出した。避難所や土砂に汚れた講堂、壊れた自宅など場所はいろいろ。それでも卒業証書を手にした子どもたちの明るい表情が印象に残っている。
証書を手渡したいという学校や住民、親の熱い思いが伝わり、児童は「助かった命を古里再興の力にする」と語っていた。
今回も卒業する子どもたちは予期せぬ情勢の中で証書を手にした。突然の異変があることを学習したと思い、学校生活で積み上げた思い出とともに大切にしてほしい。
山口県 岩国市 片山清勝(79) 2020/3/8 毎日新聞山口版掲載