デパートの各階で値引きの赤札が目に付く。娘の腕につかまり、横目で見ながら通り過ぎる。途中で椅子に掛けた。そこは3階のバッグ売り場。
ぼんやり眺めていると、赤系だが深みのあるバッグに吸い寄せられる。手を伸ばし、思わず鏡の前に立っている。「ちょっと派手かな」。好みで買ってもと迷っていた。
「ワンポイントですてきよ」。娘の助言で冒険してみようと決めた。「プレゼントするわ」と、娘はさっとカードを出す。「えっ」と思い切り感激。足取り軽く、帰りに食べたぜんざいの一段とおいしかったこと。
鹿児島市 竹之内美知子(86) 2020/3/13 毎日新聞鹿児島版掲載