夜のしじまの中、草木が芽吹き、生々しく、暖かく、いのちの香りがあたりに満ちている。
主の復活の前夜祭、喜びに満たされて家路をたどりながら西の空シリウスのかなた、ウクライナに思いをはせる。
坊やの声が聞こえてくる。「おうちに帰りたい。おばあちゃんに会いたい」。老婦人の声が聞こえる。「40年かかって建てたのに燃えてしまったの」
魔法のじゅうたんに乗って平和を届けたい。けれどできない。
だから心を込めて平和を祈る。ウクライナのため、ロシアのため、世界中のため、宇宙の平和を願い、祈り続ける。
鹿児島県鹿屋市 伊地知咲子(85) 2022.5.7 毎日新聞鹿児島版掲載