日曜日、ウイスキーを飲む。注ぐのは、愛用のグラスの下方にある飾り線まで。入れた氷が解けてグラスいっばいに満ちてから飲み始める。つまみは買い置きから気分で選ぶ。家での飲みは週1回、この1杯だけだ。
最近は、飲みながらテレビの「ポツンと一軒家」を見る。自然への思いやり、伝統を守りながら環境を生かした工夫のある暮らしに毎回驚く。喝采する。これが次の1週間への区切りになっている。
このウイスキーの氷割りをいつから始めたのだろう。新型コロナウイルス禍で外出を自粛する何年も前からだと分かるが、きっかけは覚えていない。
日曜日が12回来ると、ボトルは空になる。グラスの飾り線が軽量の役目を果たしている。1時間かけて飲むのにちょうどいい量でもある。
もともとウイスキーは飲まなかった。手を出したのは宴席での知恵だった。仕事絡みの飲食が多く、酒を注がれる時に「水割りですので」とグラスを持ち上げれば、それ以上は勧められずに済んだ。それは二日酔い防止にもなった。そのため家で夕食を取ることは少なかった。
妻は一人で夕食を取った。私の体を気遣い、酒量を聞いてきたが、愚痴は言わなかった。私は酒量を心して飲んだ。
今は毎日、妻と一緒に夕食を取る。だが、若い時からの晩酌なしは続く。日本酒は新聞投稿が掲載された日に杯1杯だけたしなむ。妻は、ポイントが10倍の日に欠かさず、ウイスキーのボトルを買って来てくれる。
山口県岩国市 片山清勝(81) ひといき欄掲載