古い手紙がある。少し色あせた和紙の巻紙にきれいな筆文字で書かれたその手紙は、私が結婚するときにいただいた。もう30年以上も前のものなのに捨てられずに持っている。
すれ違ってもおかしくないご縁だった。それがずっと続いて、いつも親身になって見守ってくださった。最近、その方の生前の話を聞く機会があり、改めて手紙に目を通した。
まるで父からのような愛情あふれるその手紙には、家庭生活における女性の義務は病気をしないこととある。いつまでも幸せを祈っていると……。
感謝の言葉しか出てこない。
宮崎市 高木真弓(68) 2022.8.14 毎日新聞鹿児島版掲載