はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

毎日ペンクラブ賞

2013-12-07 16:26:03 | 毎日ペンクラブ鹿児島


 高野さん(鹿児島市)、堀さん(姶良市)
 本紙「ハガキ随筆」への投稿者らが集まる、毎日ペンクラブ鹿児島の秋の研修会が鹿児島市で開催され、毎日新聞鹿児島版掲載の三嶋祐一郎支局長が、他県の各ペングループの活動などを紹介した。
 また、第5回毎日ペンクラブ賞が発表され、鹿児島市の高野幸祐さん、姶良市の堀美代子さんの2人に盾が贈られた。
 同賞は、2009年10月1日から今年9月末、本紙鹿児島版に載ったはがき随筆で、ペンクラブ会員の作品を対象に選考した。選ばれた随筆は、高野さんが「さざれ石」=9月26日付。▽堀さんが「新一年生」=5月13日付。ぬかの3は「他の方々はさまざまな経験、視点で投稿されるが、私は『言葉』を大切にして書いています。夜中に『これは!』という言葉が浮かべば、メモを取るようにしています」と打ち明けた。堀さんは「続けてきてよかった。『継続は力なり』ですね」とそれぞれ受賞を喜び、次作に意欲を見せた。

はがき随筆10月度

2013-12-07 15:56:18 | 受賞作品
 はがき随筆10月度の入賞者は次の皆さんです。(敬称略)

【月間賞】13日「独りじゃないよ」小幡由美子(79)=鹿屋市寿
【佳作】1日「久多島」田中健一郎=鹿児島市東谷山
   △19日「母の後ろ姿」小向一成(65)=さつま町宮之城屋地


 ひとりじゃないよ かつての職場の食堂を、ご主人とこっそり使わせてもらっていると、やはり退職後の顔見知りと出会った。従業員の人たちも含めて、旧交を温める場を提供してもらえる食堂への感謝の気持ちが、素直に表現されています。その奥に、孤独を癒してくれる人と人とのつながりがあり、そこからくる安心感がうかがい知れる文章です。
 久多島 吹上の浜沖合の無人島の、村と村との所有権争いにまつわる伝説、その島を目印に引いた子供の時の地引き網の思い出、それらを懐かしんで吹上の浜を語る内容です。歴史の中に現在の美観を置いてみると、異なる風景が見えるくるかもしれません。
 母の後ろ姿 子供の時母親と一緒に、乾かした稲を自宅に運び込み、脱穀していた思い出が語られています。子供は母親の背中を見て育つとは、よく言われることですが、文字通り小柄な母親の背中の稲の束を見て育ち、今、かつての農作業の厳しさについてある種の感慨を抱いている内容です。
 この他、優れたもの3編を紹介します。
 一木法明さんの「しょろトンボ」は、お盆に先祖の霊を運んでくるといわれる精霊トンボが、国内での羽化ではなく、南方から毎年飛来する種だということを知り、いよいよ、畏敬の念を抱いたという内容です。こういう知らないことを教えてもらえる文章は貴重です。伊尻清子さんの「郷愁」は、週末に来る孫のために、鍋いっぱいカレーを作ったのに、来ないという。子供の頃は、カレーはご馳走で、一家団欒の象徴だった。今は母も1人暮らしだし、また、孫は来てくれないし、さてたくさんのカレーは。カレーの匂いが秋の夜長の郷愁を感じさせます。山下恰さんの「百舌鳥日和」は、秋冷の候、早朝の散歩、澄んだ空気の中での鋭い百舌鳥の高鳴き、通りがかりの老人の「百舌鳥日和ですね」の一言。印象派の絵画でも観ているような、美しい情景が文章になっています。それにしても「百舌鳥日和」とは美しい言葉ですね。
  (鹿児島大学名誉教授 石田忠彦) 
  2013/11/30 毎日新聞鹿児島版掲載
 

雨のパリ

2013-12-07 15:48:27 | はがき随筆
 明日から冬時間になるというその朝、パリの街は小雨に煙っていた。ホテルの裏通りに画家、ドラクロワの生家を見つけた。大学時代に読んだ彼の伝記と肖像を思い出し、しばし遠い日の時間に浸っていた。
 ツアーバスは、パリの市内観光をしながらベルギーのブリュッセルを目指して走った。
 エッフェル塔の先端は雲に隠れている。大木のプラタナスの間に、雨に洗われたパリの街並みが続く。しっとりと落ち着いた無言の彩り──。「パリの街並みはいいなあ! 雨が似合うんだなあ」。今まで気づかなかったことを雨は教えてくれた。  
  出水市 中島征士 2013/11/30 毎日新聞鹿児島版掲載

新聞作り 成長の糧に

2013-12-02 15:23:49 | 岩国エッセイサロンより
2013年12月 1日 (日)

   岩国市  会 員  片山 清勝

 私が作る孫新間が150号になった。そんなことで、新聞作りには興味があり、中国新聞「みんなの新聞コンクール」にも注目している。
 各部門の最優秀賞が紹介された。各部門とも、伝えたいことに的を絞り、取材し記事にする。課題も提案する。受賞者の言葉からそんな内容が伝わる。
 切り抜きでは、記事配置の巧みさ、感想文の絆と平和への思いなど、今をつかんだ内容だと感じた。
 私が新間を読み始めたのは小3の頃で、担任の指導だった。読んだ記事の発表をして、そこから新間を読む楽しさを学んだ。
 コンクールを通して、多くの児童、生徒が新間に関心を持ち、活用し、自分の糧にしていることをあらためて知り喜んでいる。
 新間を作るには、取材のほかに調べることも多い。こうした一つ一つの積み重ねが、視野を広げ、社会を見る目を養っていく。今後の活躍に期待し、エールを送る。

   (2013.12.01 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載