3月ともなればケンケンとなくキジの声に目覚め、ケッチョケッチョのウグイスの声に「ああ春か」と胸がときめき、季節を感じた頃そう昔ではなかった。
雪降りにリンゴを棒に挿し、外に立てたが腐ってしまった。野鳥も過疎か。野鳥ばかりでなくカエル、セミ、バッタ類もあまり声を聞かなくなり、四季折々の季節感がわからない。農薬のせいと言われるけれどそれだけだろうか。
きれいな空気、澄みきった小川の流れは昔と変わらねど、野鳥の声の聞けぬ山里の家は哀しい。
宮崎県日之影町 甲斐カツエ 2018/4/12 毎日新聞鹿児島版掲載