月間賞に逢坂さん(宮崎)
佳作は岡田さん(熊本)、下内さん(鹿児島)、梅田さん(宮崎)
はがき随筆7月度の受賞者は次の皆さんです。(敬称略)
【月間賞】23日「若木よ育ってね」逢坂鶴子=宮崎県延岡市
【佳作】6日「魔法の言葉」岡田千代子=熊本県天草市
▽ 2日「敬老パス」下内幸一=鹿児島市
▽20日「来世の蚊」梅田絹子=日向市
梅雨明けと同時に酷暑の日々です。このような厳しい状況の中、作品を寄せていただき感謝申し上げます。
「若木よ育ってね」。92歳の逢坂さん。力強い文章です。森林組合からの案内状に、これも経験だと出かけた。この心意気に心打たれました。さらに、会場での描写が見事で、読む者も作者と共に壇上へ上がった気分です。この春、跡地に植林した苗木の成長を願う作者のひたむきな気持ちがひしひしと伝わってきて、いくつになっても生き生きと暮らしておられる姿に感動を覚えます。
「魔法の言葉」。夫が放った一言にカチンときた作者。対人関係においては些細なことでも胸の内に湧き上がった怒りを納めるのは、たやすいことではありませんが、岡田さんご夫妻の心のたたみ方は素晴らしい。お互いのわだかまりを胸に落とし込み「ありがとう」と言ってことを終わらせるお二人。最後の5行が見事です。
下内さんの「敬老パス」。市から敬老パスをもらった作者。ありがたいと思うが「敬老の立場でいるよりは、私は地域や市民のために役立つボランティア精神の奉仕人になりたいものだ」と。前向きで爽やかなお人柄を彷彿とさせる気持ちのいい文章でした。
「来世の蚊」の作者、梅田さんの亡き夫は優しい人だった。誕生日の夜、寝ている梅田さんの元にまとわりつく蚊が一匹。「俺は来世は蚊だってよ」と言っていた生前の夫の言葉を思い出した。素敵な夏の夜の物語。
熊本県の片岡順子さん、田中英恵さん、鹿児島県の若宮庸成さん、宮崎県の露木恵美子さんの作品も印象に残りました。
厳しい夏です。くれぐれもご自愛ください。
みやざきエッセイスト・クラブ会員 戸田淳子