先日のはがき随筆で、旦那さんの髪の調髪をされたとかで苦心と楽しさを増す気持ちがよく書いてあり感動した。そして、読むうちに頭をよぎるものがあった。
妻が不治の病で去り13年になるのだが、定年後2年して妻が突然ある日「髪を染めて」と言い出した。それから足掛け10年間染め続けた。頼まれた当初はぎこちなかったと回想する。
それが、いつしか染めてよ、と言われそうな雰囲気を白髪の目立ち具合で感じるようになった。
髪の毛を小さく束ね染めたあの約1時間の雑談が恋しい。
宮崎県延岡市 前田隆男(84) 2022.7.2 毎日新聞鹿児島版掲載