九州鹿児島開聞岳の遥か沖の太平洋上に屋久島がある。
一月30日の内35日雨と譬えられる多雨が屋久杉の密林を形成する。
寿命の尽きた大木が倒れ、若木がその上に生育する倒木更新は屋久杉の墓場。
千年を超える生涯を終え、遺伝子を伝承して、安らかに眠る老木。太陽と大地と水のお陰で、ゆっくり成長する若木には夢と希望がある。
動物の死は日没の印象、植物の死には朝日が昇る。
朽木を磨き、流木を飾り、日 . . . 本文を読む
死期を悟った象は群れを離れ墓場に向かう。無数の骨や牙が散らばる墓場に身を横たえ、静かに死を迎える。
真実は人跡未踏の草原で絶命し、野獣に食われ、微生物に分解され、骨は風化して消滅する。
密猟者が象牙を採取し、死骸を捨て置いた場所を文明人が発見、墓場伝説を創造した。
墓は野獣に無く、人間社会の独占物である。
死の恐怖を思う人間は真面目な毎日を懸命に生きる。死を恐れぬ人間は凶悪犯罪者になる。そ . . . 本文を読む