齢を重ね老境に入った今、仏になった両親を思い出す。勧善懲悪の教育を思い起こし感謝に堪えない。
最近は仏前で、門前の小僧習わぬ経を読んでいる。
宗派は浄土真宗であるが、この世に唯一絶対的存在はないと教える「般若心経」を読誦する異端者である。
仏壇の前は不相応なので、四国遍路旅を結願した記念品の墨蹟朱印掛け軸前が指定席、妄想で精神が錯乱する時は何回となく繰り返す。
「般若心経」の276の文字と声で心が満杯となると妄想が薄らぐ。
情報化社会の現世、妄想の種は尽きない。苦しみの氾濫する穢土、仏の浄土が目に浮かぶ。
阿弥陀様は、本願に頼ろうとしない悪人を信心深い善人と同様に救済下さるのだろう。