風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

浪花節の銅メダル 347号

2008年08月25日 07時35分28秒 | 随想
塚原直貴が電撃スタートを決め末続慎吾にバトン。第3走でジャマイカのボルトが突き放す中、高平慎士が2着でアンカーの朝原宣治に繋ぐ。トリニダード・トバコに追い抜かれたが銅メダルを獲得した。北京五輪の陸上競技・男子四百メートルリレーである。

予選では米国のほか、ナイジェリア、ポーランド、南アフリカと、実に半数がバトン渡しに失敗し、続く2組でもアテネ五輪金メダルの英国のほかイタリアがオーバーゾーンの違反で失格した。

36歳で日本の短距離界を長く支えてきた朝原は「バトンを渡す地味な練習を積めば外国勢とも対等に渡り合える。チームワークがリレーの醍醐味」と話す。

女房は同級生の元シンクロナイズドスイミングの奥野史子で、夫婦そろっての銅メダリストになった。

若い3人のアスリートが、大先輩の朝原に競技人生最後の有終の美をプレゼントする義理人情と女房の献身的な理解と励まし。

会社員として労働する余暇に地味な練習の精進努力を積み重ねた無欲の栄誉である。結果は自然に付いて来る。

朝原宣治と同様に間も無く定年退職を迎えるが、人情が紙風船と化した宮仕えでは、時間の切れ目が縁の切れ目なのである。浪花節が廃れた日本人に、古き善き日本の人間関係を発見し、嬉しくなった値千金の銅メダルで、金よりも銀よりも輝いている。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。