裁判官・検察官そして弁護士 ５７９号

「被告人を無期懲役に処する」で始まり「再審を開始する。菅家さんの刑の執行を停止する」の裁判官の言葉で１７年半の刑務所暮らしが終了した。

逮捕された１９９１年は西洋科学主義の絶頂期であり、冤罪が晴れた２００９年は西洋文明の拡大経済が崩壊した年だった。西洋科学の生命の設計図であるＤＮＡを全面的に信用した軽率な判断だった。

無実の罪の悔し涙を、犯罪を悔い改める涙と誤認したデカ長は、警察庁長官賞を受賞、特進して現在は警視である。部長刑事に降格が適当である。刑事部長に昇進したら世も末である。

弁護士も報酬の多い弁護を志向するのではなく、人道上の正義に挑戦するプロ意識を丸出しにするべきだ。正義の味方・月光仮面は老衰したのだろうか？

最高裁判事は当然、少数意見があるだろうが、僅差の判定なら救いがある。裁判官制度で民間人を判決に参加させるのは、無責任の印象がある。

危惧する問題点は、司法・検察・弁護の役割分担が不明確となり、仲良しクラブの事なかれ主義に堕落している事である。「和を以て貴しとなす」よりも「和して同ぜず」が相応しいと思う。

国家賠償法で一億円程度の保証金があるだろうが、金による解決策は馴染めないのである。菅谷さんが残り僅かな人生を謳歌することをお祈りする。