風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

平和の使者 鳩の思い出 88号

2007年05月27日 09時03分11秒 | 随想
庭に土鳩が飛んで来て、眺めていると、少年時代の鳩の思い出が蘇ってきた。
その頃、伝書鳩を飼うことが、ブームであった。大家族の貧乏教師の息子には、購入する金が無い。金持ちの魚屋(魚力)の息子(俳優倉石功)から、鳩をもらい、鳩小屋を自作して飼い始めた。翌日悉く猫に食われてしまった。弱肉強食の真理を見せ付けられ、ものの哀れを感じ、以後動物を飼育することは放棄して、植物に関心が向く様になったのである。
鳩には、弱肉強食の争いは醜く、共栄共存の平和の有難さを教えてもらった。お陰で平穏無事な人生で、鳩は平和の使者である。

『鳩が豆鉄砲を食らったよう』 鳩が豆鉄砲で撃たれたときのように、突然のことに驚いて目を白黒させる様子。呆気に取られた表情。 
『鳩に三枝の礼あり』 子鳩は親鳩が停まっている枝より三枝下に停まって礼譲を守るということ。礼儀を重んずべきであるということの喩え。
『鳩の飼い』 昔、山伏や占者のような恰好をして家々を回り、熊野の新宮・本宮の事を語っては、鳩の飼料と称して金を騙し取ったところから、口先で人を誑(たぶら)かして世渡りをする人。詐欺師や如何様(いかさま)師などにいう。

カラスは狡猾で腹黒いと決め付けていたが、別の一面を見せる諺を発見した。
『反哺の孝(はんぽのこう)』 カラスの子が、成長してから親烏に食物を咥(くわ)え与えて養育の恩に報いるように、反哺して親の恩に報いるような孝行。哺は保育の保と同じ意味の漢字である。

世の娘や息子達は、一生懸命太陽の下で労働して、カラスのように黒い顔となり、親の養育の恩に報いないとカラスに笑われる。あるいは鳩のように礼儀を重んずべきであると思うのであるが、自分が実行出来なかったので、カラスや鳩に顔向けできない。だから物言わぬ植物を相手にしているのである。

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