風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

見上げてごらん、夜の星を 453号

2009年01月31日 10時45分26秒 | 随想
一番星みつけた あれあの森の 杉の木の上に。
二番星みつけた あれあの土手の 柳の木の上に。
三番星みつけた あれあの山の 松の木の上に。

文部省唱歌である。作者の見た一番星、二番星、三番星はどんな星なのだろうか?

一番星は宵の明星である金星とするのが一般的である。太陽を中心として周回する水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星。内惑星の金星は太陽光に影響され、夕方の西空の「宵の明星」として、夜明け前に東の空に「明けの明星」として僅かな時間光り輝く。

二番星は外惑星の木星とする説がある。地球は木星を追い越して周回するから、東から西に移動したり、西から東に動いたり、停止したり、人を惑わす無法者・アウトローだから惑星であると、人間の都合で命名する。

三番星は多過ぎて特定できない。人間世界では、優勝・準優勝の勝者・敗者の二元論が横行して、その他大勢の三番目以下は完全に無視され、関心がないのである。ちなみにおいらは三男坊で、その体験論は真実味がある。

古き良き日本のわらべ歌。西洋科学主義に毒される以前の日本。科学教育より、道徳や倫理、伝統文化の心の教育が重視された。とある刹那、とある地の情景を描写したのだろう。

一番星はお月様だった。そして宵の明星、木星。厳密に言うと、月は星でなく地球の衛星であるとする小賢しい議論は、心の発露の詩の世界には無用である。

明けの明星が輝くのを見て釈迦は真理を見つけ、口中に飛び込み弘法大師空海は四国の洞窟で悟りを開いた。暗闇に突然現れた光、心の暗雲を取り去る一条の光。その光に大いなるモノに抱かれる自分を見つける。お陰様で生かされる自分。自然の中の自分。

宗教的には「宵の明星」より「明けの明星」を大切にしている。苦しみを通り抜け、歓喜に溢れる。仕事の後の休日はキリストの一週間。ドゥルヒ・ライデン・ツール・フロイデはベートーベンの第九交響曲。

一番星の光に感動する人の心は、月でも、金星でも、木星でも、人工衛星でも、航空機の衝突防止灯でも、何でも良いのである。見上げて御覧、夜の星を。

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