
アーチの黒部・重力の佐久間・ロックヒルの徳山など、多くの百メートルを超える巨大ダムを旅の途上で見学した。ダムの上流には満々と水を湛えるダム湖が有るが、下流は細々と水が流れるのが一般的で異様な光景と感じる。
奥三河の豊川に水力発電所に導水する小さな堰堤が有る。長篠堰堤で高さはたったの8メートル。導水路からは余水が越流しナイヤガラ滝の様相を呈し豊川に吐き出すから川の水量には大きな変化が見られない。その水を利用して川マスを養殖する。「長篠堰堤余水吐」である。
アベノミックスは大企業や富裕層を優遇し社内留保や貯蓄で巨大なダム湖をつくるが、下流の民は水が少なく往生する。自転車操業の中小企業は川の流れの様に入ってきた金はほとんど停滞させることなく、取引先や従業員に流す。
「富める者が富めば、貧しい者も自然に豊かになる」とする経済仮説がある様だが糞食らえ、貧乏人が無くなれば経済は活性化するのだろう。
一億総中流、「長篠堰堤余水吐」はその具現化で美しい。