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風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

湯河原温泉旅行回想録(弐) 105号

2007年06月14日 10時45分26秒 | 紀行文
『箱根山駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草履作る人』は世間は多くの人のお陰で成り立っている事のたとえ話である。沼津から東海道で箱根峠経由で湯河原温泉を目指している。
 
箱根山は神奈川県と静岡県にまたがる火山の総称で、中央火口丘と二重の外輪山で構成され、内側にはカルデラ湖の芦ノ湖がある。活火山であるから温泉が豊かな地域である。芦ノ湖から有料道路ターンパーク(150円)と湯河原パークウエー(470円)経由で、森の中の湯河原温泉源泉境『花長園』に到着した。岡崎か 8時間経過した5時過ぎである。10室程度の小規模な旅館で、駐車場は玄関前の狭い空き地、満室の逗留客の車を並べるのは、神業である。大規模観光ホテルはバイキングが主流であるが、古風な部屋食である。狭い敷地に風呂場が5つあるので、食堂を作るスペースが無いのが実情の様である。すべての風呂は入口に看板を掲げると、貸切になり、無料で24時間何時でも入浴可能である。やはり温泉の主役は風呂である。

国木田独歩・夏目漱石・ 芥川龍之介・島崎藤村・獅子文六・小林秀雄・水上勉など多くの作家が逗留し創作の筆を執った。谷崎潤一郎・山本有三・安井曾太郎や細川護熙 ・西村京太郎 五月みどりが住民である。都会の臭いの残る田舎として団塊の世代の移住の地としても人気が高いようである。

食事のあと、湯河原温泉観光協会の『蛍の宴』に散歩がてら行った。町内を流れる千歳川や新崎川にホタルが自生する万葉公園が会場である。暗闇に点滅する蛍光は幻想的・幽玄の世界である。
日本で「蛍」といえば、本州以南の日本各地に分布し、5月から6月にかけて発生する源氏蛍を指すことが多いが、平家蛍もいる。
発光する能力を獲得したのは「敵をおどかすため」という説や「食べるとまずいことを警告する警戒色である」という説がある。夜行性の種類ではおもに配偶行動の交信に発光を用いている。中には他種のメスをまねて発光し、そのオスをおびき寄せて捕食してしまう種類がいる様であるが、盛り場で着飾り、芳香を撒き散らし男から金品を毟り取る『夜の蝶』を今後は『夜の蛍』と呼びたい。幻想の世界に変わるか、男が食い潰されるか、ギャンブルである。

ホタルの発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素とアデノシン三燐酸がはたらくことで発光する。発光は表皮近くの発光層でおこなわれ、ホタルに限らず、生物の発光は電気による光源と比較すると効率が非常に高く、熱をほとんど出さない。このため「冷光」とよばれる。発光ダイオード(LED)に似ている。

帰りは上り坂がキツイ温泉街であるので、バスを利用した。不思議に思ったことは都会並みに、15分間ごとに頻繁にバスが走っているのである。温泉街のイメージは山奥の飛騨平湯温泉であるから、日に数便の固定概念であるが、ここのバスは通勤バスなのである。106号に続く。


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