小学生の時、初めて長野電鉄に乗った。終戦後の貧乏な時代、バスは木炭車だった。乗物利用は贅沢である。空席の目立つ車内で本を読む兄貴。勉強の末は博士か大臣になる夢がある。
エンゲル係数が高く、大家族の食費に親父の俸給が消え、母から兄貴に渡された小銭は電車賃のみ。10円のきっぷを受け取る。
移動する景色に夢中になり、開放可能な窓から貴重な切符を飛ばしてしまった。泣きながら事情を説明するが、黙って読書を継続する兄貴。
駅に到着すると学生帽を脱ぎ、金鵄の帽章の留具から5円玉を2個取り出し、状況説明して駅員に渡すが受け取らず、改札口の通過を促す。礼を述べ立去る兄貴と僕。以来僕の趣味は読書と貯蓄になったのである。

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