国の警察の警察庁は地方の警察を指揮監督している。地方の警察には、警察本部(東京都は警視庁)のほか、警察署が置かれ、交番や駐在所がある。警視庁には警視総監が、地方警察には道府県警察本部長(警視監・警視長)が置かれ、国家の統治権に基づき、社会・公共の秩序を維持しその障害を除去するための機関として厳格な階級制度がしかれている。警視総監・警視監・警視長・警視正・警視・警部・警部補・巡査部長・巡査長・巡査となっている。殺人事件など凶悪事件の担当が、刑事部捜査一課でその総元締めが、警察庁刑事局である。地方の刑事には国の警察庁刑事局長は天皇なのである。
内田康夫の生み出した探偵・浅見光彦には、優秀な警察官僚である兄の浅見陽一郎がいる。浅見陽一郎は現役大学生で司法試験にパスし、東大法学部を首席で卒業。最初から警察畑を志望し、上級職試験に難なくパス。史上最年少の昇進記録を更新し、27歳の父が亡くなった時は、すでに警視で京都市内の警察で刑事課長を務めていた。翌年28歳で埼玉県大宮市の警察署長になる。15年前、32歳で警視正になり、京都府警の捜査二課長をした。現在は警察庁刑事局長で階級は警視監である。捜査二課は知能犯、三課は窃盗、四課は組織暴力の担当である。
内田康夫はアメリカのコロンボ警部を真似て、「信濃のコロンボ」として主人公の長野県警捜査一課竹村岩男警部も創作した。初めは長野県警の交番巡査だったが、長野県警飯田署の警部補に抜擢され、難事件を解決したことが認められ、長野県警捜査一課警部補に昇進し、現在は警部である。
西村京太郎「警視庁刑事部捜査一課の十津川省三警部」、山村美紗「京都府警察本部刑事部捜査一課狩矢荘助警部」、志茂田景樹「孔雀警視・扇野笙子(おうぎのしょうこ)」や「警視総監・鳳美雪」、嵯峨島昭「酒島警視」、斎藤栄「兵庫県警の二階堂警視」、峰隆一郎「雨宮元警視」や胡桃沢耕史の代表作の1つである「翔んでる警視」岩崎警視(最終的な役職は警視庁捜査一課監理官)など凶悪事件の推理小説には、刑事部捜査一課の警官が不可欠である。
岩崎警視は昭和30年長野県生まれ。東大を卒業して国家公務員上級試験行政職3番合格。当人は警視庁捜査一課入りを強く希望し、インターポールなどでの研修を経て警部として着任。叩き上げ型刑事のカンよりもコンピュータを信用する態度で、当初は部下の反感を買うが、着実な実績で次第に心服される。語学の天才で抜群の記憶力を誇る。実家の山林が売れた利息の一部として毎月1千万円を父から捜査費用として使うことを命じられる。古今東西の殺人事件のデータベース化をライフワークとし、捜査の徹底科学化に励んでいる。
私は長野県育ちなのであるが、生物の命を殺し食ってしまう殺生罪で、いつ当局の捜査が入るか恐怖に怯え、心身を律して生きているのである。推理小説の効用である。
探偵では、ミステリーの女王、アガサ・クリスティーが生み出した名探偵「エルキュール・ポアロ」は小柄なベルギー人で、自らの推理力を「灰色の脳細胞」と呼んでいる。
しかし探偵と言えば、アーサー・コナン・ドイル作のシャーロック・ホームズである。7歳違いの兄がマイクロフト・ホームズで、いくつかの官庁で会計検査の仕事をしており表面上は下級役人だが、実際にはその卓越した頭脳で政府の政策全般を調整する重要なポストにある。ルポライター浅見光彦と浅見陽一郎警察庁刑事局長の関係に似ている様である。ワトソン博士は誰と言うことになれば、やはり母親浅見雪江である。
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